スイスAXPO社:ベツナウ1のRVで検出したヒビの特性評価検査で作業ロードマップ提出

2015年12月4日

 スイス連邦原子力安全検査局(ENSI)の12月2日付け発表によると、ベツナウ原子力発電所1号機(PWR、38万kW)の原子炉容器(RV)母材からヒビの兆候が検出された件について、事業者であるAXPO社は11月30日、この検査結果の特性を明確に評価する追加検査の作業手順計画書(ロードマップ)を提出した。ENSIは今後、国際的な専門家グループと共同で同計画書の完成度を審査し、同社が選択した検査方法がRVの健全性に関して信頼性のある結果を得る上で、どの程度適切であるかを評価。その後、AXPO社が同特性評価検査を実際に実施し、その結果報告書と同炉の安全性証明文書(セーフティ・ケース)を提出し次第、これについても審査し、意見報告書をまとめる考えだ。2段階にわたる広範な審査プロセスとなるため、完了には数か月を要するとみられている。

 AXPO社は今年7月、ベツナウ1号機で超音波探傷検査を実施した際、RV母材の一部から製造過程における僅かな異常が発見されたとENSIに報告。追加計測と数値の詳細分析を行うのに加えて、RV上蓋の取り替え作業が遅れているため、同炉の再稼働は10月末に延期すると発表していた。しかし、8月になってENSIがこの件について特性評価検査を行うよう指示したことから、同社は同検査で採用する手順や評価方法をロードマップとして提出したもの。

 同社は追加計測と数値の詳細分析にあたり、この件の参考ケースであるベルギーのドール3号機とチアンジュ2号機の調査で、事業者のエレクトラベル社が開発した特別な試験方法を使ったと説明。これまでのところ、夏に実施した計測結果を概ね裏付ける結果が出ており、今月末には新たな結果報告をスイス技術検査協会(SVIT/ASIT)とENSIに提出できるとした。また、これらの安全規制当局による審査プロセスが完了すれば、同炉を改めて送電網に接続できることを確信するとした一方、2016年7月末までは再稼働の承認は得られないと予想していることを明らかにした。