ウクライナ:南ウクライナ2号機が10年間の運転期間延長許可を受けて再稼働

2015年12月21日

SNRCの会合には、エネルギー石炭産業省やエコロジー天然資源省など関係省庁の代表のほか、欧州復興開発銀行、NGO、メディアの代表なども出席した©エネルゴアトム社

SNRCの会合には、エネルギー石炭産業省やエコロジー天然資源省など関係省庁の代表のほか、欧州復興開発銀行、NGO、メディアの代表なども出席した©エネルゴアトム社

 ウクライナの原子力発電公社であるエネルゴアトム社は12月14日、規制当局から10年間の運転期間延長が承認された南ウクライナ原子力発電所2号機(100万kW、ロシア型PWR)を、13日の午後4時過ぎに予定より4日前倒しで再び国内送電網に接続したと発表した。同炉は今年5月、ロシア型PWR(VVER)の設計上の公式運転期間である30年の操業を終えた後、配管の最新化やタービン機器の取替を含む運転期間延長を目的とした大がかりな総点検・改修作業に入っていた。ウクライナ国家原子力規制検査庁(SNRC)は12月7日の会合で、同炉における定期の安全性再評価や包括的な点検の結果を検討(=写真)。同炉の運転を2025年12月末まで許可する決議を全会一致で採択していた。

 エネルゴアトム社は、2006年に内閣が承認した「2030年までのエネルギー戦略」に従い、国内で稼働中の原子炉15基(40万kW~100万kWのVVER)のうち、経年化した11基について30年を越える運転の継続を目指している。同社の総裁はSNRC会合の席上、南ウクライナ2号機の運転期間延長は同社内の問題に留まらず、ウクライナのエネルギー供給セキュリティに影響すると強調。国内の産業や家庭に電力を供給できる主力は原子力発電産業であり、その発電シェアは46%から56%に上昇し、時には60%に達すると指摘した。こうした状況下で南ウクライナ2号機の運転期間延長を決めたことは、ウクライナのエネルギー・ミックスにとって重要なことであるとの認識を示している。

 これまでにSNRCはロブノ原子力発電所1、2号機について、2010年12月に同国の原子炉として初めて20年間の運転期間延長を許可したほか、南ウクライナ1号機についても2013年に10年間の延長を承認済みだ。エネルゴアトム社はこれらに加えて、ザポロジェ1号機の運転期間延長を今年5月にSNRCに申請。さらに、ロブノ3号機の延長に向けて申請の準備作業を進めている。