英国:世界で最後のマグノックス炉、ウィルファ1号機が永久閉鎖

2016年1月8日

©マグノックス社

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 英国ウェールズ地方・アングルシー島でウィルファ原子力発電所(=写真)を所有する原子力廃止措置機構(NDA)は12月30日、世界で唯一稼働中だった旧型ガス冷却炉(マグノックス炉)である1号機(50万kW)を同日付で永久閉鎖したと発表した。1971年に営業運転を開始した同炉は、当初の閉鎖予定だった2010年以降、再三にわたり運転期間延長が許されており、最終的に約45年間稼働。今後は2016年初夏に燃料の抜き取りを開始し、2018年後半までに同作業を完了した後、数十年にわたる本格的な廃止措置作業を実施するとしている。

 マグノックス炉は天然ウランを燃料とする黒鉛減速炭酸ガス冷却型の原子炉で、英国が開発・実用化した。同設計を採用した原子炉は1956年に世界で初めて、英国カンブリア州のコールダーホール原子力発電所1号機(6万kW)として運転を開始しており、同炉により新しい原子力時代が幕を開けたとNDAは評価。ウィルファ発電所も運転開始当時はウェールズ地方の電力需要の4割を発電するなど、世界でも最も強力な原子力発電所の1つと評されていた。

 同発電所の運転を担当するマグノックス社は2012年4月、運転開始後41年が経過した同2号機を閉鎖したが、その理由は、マグノックス合金で被覆した燃料が2008年以降製造されておらず、限られた燃料ストックを1号機に流用して、同炉を運転認可期限一杯まで操業するため。部分的に使用した燃料を別の原子炉に転用するという革新的な技術と手続(IRX)は規制当局が承認しており、1号機の運転期間は5年間延長された。IRXは同じマグノックス炉のオールドベリー原子力発電所でも適用実績があり、これらの運転期間延長で得られた追加収入約10億ポンドは、原子炉の廃止措置と除染作業に充てられている。