ブルガリア:コズロドイ6の運転期間延長のため、機器類の評価契約をロシアと調印

2016年2月2日

 ブルガリアのコズロドイ原子力発電会社は1月28日、同発電所6号機(100万kW、ロシア型PWR)の運転期間を合計60年まで延長するため、ロシアのロスアトム・サービス社およびブルガリアのリスク・エンジニアリング社で構成される企業連合と実行可能性調査の実施契約を結んだ。同発電所はブルガリアで唯一の原子力発電所であり、5、6号機の2基だけで国内の総発電量の32%を発電。7号機を増設する計画もあるが、1993年に営業運転を開始した6号機は数年後にロシア型PWR(VVER)の公式運転期間である30年目を迎えることから、電力の安定供給確保のため運転期間延長を決めたと見られている。同型で1988年に運転開始した5号機についてはすでに2014年10月、ロスアトム・サービス社およびフランス電力(EDF)の企業連合に同様の調査契約を発注済みとなっている。

 契約内容によると、同調査では6号機の原子炉機器や配管のほかに1次系と2次系の熱・機械設備、ディーゼル発電機、建屋と構造物の技術的な状態に関する評価と、残りの運転期間中は稼働可能であることを保証する作業を実施。調査期間は30か月を予定している。契約書への調印は、経済と科学技術協力に関するロシアとブルガリアの政府間委員会が同日、ブルガリアの首都ソフィアで開催されたのに合わせて、同発電所のD.アンゲロフ所長とロスアトム・サービス社のE.サルコフ最高責任者が行った。サルコフ氏は原子力発電分野におけるロシアとブルガリアとの協力関係が40年以上に及ぶ点に言及。こうした関係が順調に続いていくだけでなく、運転期間の延長や原子炉の最新化といった重要プロジェクトに拡大することは喜ばしいとの認識を示した。

 ブルガリアでは44万kWのVVERが4基、同発電所1~4号機として稼働していたが、欧州連合(EU)への加盟と引き替えに同国政府はこれらを2006年までにすべて閉鎖。2008年当時の政府は、これらに代わる原子力設備としてベレネ原子力発電所(100万kW級VVER×2基)の建設を検討したが、2009年にドイツ資本が同計画から撤退した後、2012年当時の政府が計画の打ち切りを表明した。その後、7号機としてウェスチングハウス(WH)社製AP1000を1基(100万~120万kW)建設する計画が浮上。同国政府は2013年にWH社の親会社である東芝に対し、戦略的投資家として同計画に出資要請する方針を閣議決定しており、WH社も2014年8月、AP1000設計が正式に選定されたと発表していた。