ヨルダン:国際諮問グループ初会合で原子力導入プログラムの推進を確認

2016年2月5日

©ヨルダン政府

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 ヨルダン政府は2月1日、ヨルダンの原子力導入プログラムに関する国際諮問グループ(IAG)の初会合が同日に王宮府で開かれ、同席したアブドラ国王が同国の持続的な社会経済の発展を促すため、原子力プログラムを推し進めていく重要性を改めて確認したと発表した(=写真)。ヨルダンの元首相を議長とするIAGは、ヨルダンが国際的な安全基準を満たしつつ同プログラムを日程通りに遂行する上で必要な助言を得るため、2015年11月に政府が設置を承認していた。日本の原子力委員会の尾本彰・前委員を始めとする錚々たる原子力専門家を世界中から招集。導入プログラムの進捗状況を審査した上で、初回の包括的報告書を3か月以内にとりまとめると見られている。

 中東に位置しながら石油資源に恵まれないヨルダンでは、エネルギーの97%を輸入。原子力発電所の導入により、電力需要を満たすなど国内のエネルギー・ミックスを多様化し、海水の脱塩にも利用する方針だ。同プログラムではまた、国内のウラン資源探査と採掘、および関連の人材育成も実施する予定。2013年10月に同国初の商業用原子力発電所の発注先としてロシアのロスアトム社を選定しており、2020年代に電力需要の12%を賄えるよう、100万kW級のロシア型PWR(VVER)を2基、首都アンマンの東85kmに位置するアムラで建設することになった。

 IAGの外部メンバーは尾本氏のほか、英原子力公社のB.ジャッジ元会長、英原子力規制局(ONR)のM.ウェイトマン元長官、欧州原子力核研究機構(CERN)のR.ホイヤー元所長、国際原子力機関(IAEA)のW.ブルカルト元事務局次長、米エネルギー省(DOE)のP.ライオンズ元原子力担当・首席エネルギー次官補代理、米原子力規制委員会(NRC)のR.メザーブ元委員長で、主要業務はヨルダンにおける放射性廃棄物取り扱い戦略や原子力発電所建設で資金を調達する最良オプションとメカニズムについて、助言を提示すること。また、核兵器の不拡散や原子力セキュリティ分野、国民の原子力受容に関しても相談に応じるほか、プログラムの進捗状況を毎年、報告書として首相に提出すると見られている。

 初会合の席でアブドラ国王は、ヨルダンが安全・セキュリティ分野で厳しい基準を満たすとともに国際社会の良好事例を取り入れ、透明性のある原子力平和利用を進める模範的存在となることを熱望すると明言。商業炉に先立ち、ヨルダン科学技術大学内に建設する初の研究訓練用原子炉(韓国製、熱出力0.5万kW)は、ヨルダン内外のアラブ地域における原子力研究・訓練の中心となり、放射性同位体の医学利用といった原子力分野の能力向上に役立てられるとの認識を示した。ヨルダン側からは議長を務めるM.バヒト元首相のほか、A.エンスール首相、K.トゥカン原子力委員長、K.シュライデ元エネルギー相などが出席した。