仏アレバ社:2015年決算で再建計画が順調に進展していると発表

2016年2月29日

 フランスのアレバ社は2月26日、前日の取締役会で2015年12月末までの年間決算報告が承認され、取引銀行グループから11億ユーロ(約1,359億円)の緊急用つなぎ融資を確保するとともに、50億ユーロ(約6,176億円)の資本増強を計画するなど、財務上の健全性を取り戻す再建計画が順調に進展していると発表した。同社は2014年に48億3,300万ユーロ(約5,970億円)という過去最高レベルの純損失を計上したが、2015年の純損失は20億3,800万ユーロ(約2,517億円)に半減。収益も39億5,400万ユーロだった前年との同一条件下で1.9%増の約41億9,900万ユーロ(約5,197億円)に改善されたとしている。

 その他の決算指標としては、受注残高が290億ユーロ(約3兆5,818億円)だったほか、金利・税金・償却前利益(EBITDA)は2014年実績の4億7,100万ユーロから6億8,500万ユーロ(約846億円)に改善され、営業損失も21億1,500万ユーロだったのが13億8,800万ユーロ(約1,714億円)に縮小した。また、営業活動によるキャッシュフローは前年のマイナス5億7,900万ユーロがプラスに転じ、2億9,700万ユーロ(約366億円)を計上した。純キャッシュフローも前年のマイナス12億8,200万ユーロからマイナス5億9,000万ユーロ(約728億円)に改善されたが、2016年にはマイナス20億~マイナス15億ユーロと急減に悪化する見通しを表明。理由として、現在実施している改善策の影響や最終処分場関係の大型プロジェクトによる支出を挙げた。

 財政再建に向けた戦略的ロードマップの実施状況については、今年の1月末に、政府の支援などにより50億ユーロの増資原則を取締役会が承認したことや、フランス電力(EDF)への過半数株売却が決まっているアレバNP社の最終査定額でEDFと合意したこと、子会社であるキャンベラ社とアレバTA社の売却を決めたことを挙げた。また、フィンランドのTVO社から請け負ったオルキルオト3号機(OL3)建設計画の遅延関連で、プロジェクトの完了保証と論争の終結を目指した協議を同社と開始。中国核工業集団公司(CNNC)とは、株式購入の可能性を含めた連携協力で昨年11月に了解覚書を締結した事実に言及した。さらに、アレバNP社の売却後にグループ内に残る燃料サイクル関係の全営業活動を統合して「ニュー・アレバ・グループ」を2016年中に起ち上げる決定を下したとしている。

 同社のP.クノルCEOによると、2015年の決算結果は同社の努力が進展したことを示したもので、2016年以降の見通しは明るくなっていくと明言。2015年は市場環境が好転しなかったこともあり、引き続き多額の純損失を計上したが、20億ユーロのうち半分はOL3関連の追加引当金であり、残りは経営再建経費と市況関連の減損だと説明した。同グループの流動性資産については、今後数か月のうちに資本増強が始まるなど十分な資金供給が行われ、経営状況は徐々に改善していくと強調。2016年は、2015年に発表した再建計画を明確に、かつ自信を持って進める新たな段階に入ると指摘している。