米規制委:医療用放射性同位体生産施設に1980年代以降初めて建設許可

2016年3月2日

 米原子力規制委員会(NRC)は2月25日、医療用放射性同位体(RI)生産専門の先進的な施設について建設許可の発給を承認したと発表した。ウィスコンシン州を本拠地とするSHINEメディカル・テクノロジーズ社が州内のジェーンズビルで計画しているもので、加速器と低濃縮ウラン(LEU)を利用した施設になる予定。医療用RIの調達における輸入依存から脱却し、信頼性のある国内生産設備の構築を目指す米国政府に協力支援するという位置づけで、NRCが非発電施設やRI生産施設に対して発給した建設許可としては1985年以降、初の例となる。同プロセスで義務付けられている公聴会も完了し、SHINE社は広さ57,000平方フィート(約17平方km)というRI生産施設の建設が可能になった。完成後は操業許可を別途、NRCに申請することになる。

 SHINE社の申請書を審査したNRCの原子炉安全諮問委員会(ACRS)によると、米国では1日に約5万件の画像診断で使われるRIの供給を、過去20年にわたり輸入に頼ってきた。全米科学アカデミーが2009年の報告書でHEUを使わないモリブデン-99の国内生産を提唱したのに続き、米エネルギー省(DOE)国家核安全保障局(NNSA)も同じ概念の商用生産施設を国内で建設するため、必要となる技術開発への財政支援を約束。2010年から民間とのコスト折半協力プロジェクトを進めており、4つの商業連携プロジェクトの1つであるSHINE社とは総額3,000万ドルの協力協定を締結した。このうち50%の1,500万ドルがNNSAの拠出分になるという。

 SHINE社の生産施設は8つの照射ユニットとRI生産設備を1つの建屋内に収める構造で、加速器駆動の中性子源を使って未臨界集合体中のLEUの核分裂を誘導するという設計。同社は2013年3月と5月の2回に分けて建設許可を申請しており、ACRSは申請書を独自に審査した結果、2015年10月にNRC委員長に対して建設許可の発給を勧告していた。