カナダのテレストリアル社:溶融塩炉設計の認可前審査を安全委に申請

2016年3月2日

 カナダで先進的な原子力技術を開発中のテレストリアル・エナジー社は2月25日、独自に開発した一体型溶融塩炉(IMSR)設計について、認可前設計審査の第一段階を原子力安全委員会(CNSC)に申請したと発表した。建設前の原子炉設計がカナダの技術的な規制要件を満たしているかという点についてCNSCが提供している審査で、メーカーの自由意志により行われるもの。同社は2020年代に最初の商業用実証炉の建設を目指しており、建設・運転認可の正式申請に向けた第一歩が記されたとしている。

 溶融塩炉では、燃料として溶融塩とトリウムなどの混合液体を使用。北米では1950年代に米オークリッジ国立研究所を中心に開発が始まったが、初期の商業炉が軽水炉であったことなどから、その延長で軽水炉技術の開発が進展した。しかし、「第4世代原子力システムに関する国際フォーラム(GIF)」は溶融塩炉を国際共同研究開発が可能なコンセプト6種の1つに選定しており、米国のトランスアトミック・パワー社による溶融塩炉開発に大手投資企業が2014年に200万ドルを投資したことも伝えられている。

 テレストリアル社のIMSRは、出力2.9万kW~29万kWまで3種類の小型モジュール炉(SMR)。まずカナダで実証炉を建設した後、北米その他の地域における市場への幅広い売り込みを目指して、今年1月に1,000万カナダドル(約8億円)の技術開発・事業化資金を調達したと発表していた。CNSCの認可前審査は(1)国内規制要件の遵守状況、(2)認可発給の根本的な障害となる可能性の特定、(3)第2段階のフォローアップ--の3段階で構成され、第2段階の審査結果は主に、建設許可の技術審査時に作業を効率化するため考慮されることになる。