インド:カクラパー1号機でレベル1の冷却材漏れ、放射性物質の放出なし

2016年3月16日

 インド原子力規制委員会(AERB)は3月11日、西海岸グジャラート州のカクラパー原子力発電所1号機(加圧重水炉、22万kW)で冷却材である重水が冷却材チャンネル集合体の1つから漏れたため、午前9時頃に同炉が自動停止したと発表した。この事象による外部への放射性物質放出や従業員の被ばくは無く、AERBは暫定的に同事象を国際原子力事象評価尺度(INES)の7段階評価で最も軽微なレベル1に評定した。

 AERBによると、中央制御室で一次系ポンプ室の圧力高のアラームが認められた際、高速停止システムや緊急炉心冷却システム(ECCS)などの安全システムは設計通り、自動的に起動。9時10分に緊急事態宣言が発令されたものの、すべての安全関連機器は十分に機能しており、一次冷却材温度が45度Cに低下するなど、同炉は安定した冷温停止状態にあるとしている。AERBは同事象後、独自の調査を専門家チームに任命して原因究明に当たらせている。

 カクラパー発電所は、カナダの加圧重水炉技術をベースにインドが独自開発したもので、インド国内の原子炉21基中、18基までが加圧重水炉。同じサイトの2号機は2015年7月から停止状態にあり、AERBが入念に状態を監視中である。