GEH社:米国におけるサイレックス法ウラン濃縮技術の商業化事業から撤退へ

2016年4月20日

 豪州で独自のレーザー法ウラン濃縮技術を開発したサイレックス・システムズ社は4月18日、米国における同技術の商業化プロジェクトからGE日立ニュークリア・エナジー(GEH)社が撤退の意向を表明していることを明らかにした。プロジェクト会社であるGE日立グローバル・レーザー・エンリッチメント(GLE)社は、同技術の商業化・運用の独占実施権を保有しており、GE社と日立がそれぞれ51%と25%を出資。プロジェクトの継続を希望するサイレックス社としては、GLE社への新たな出資者を模索する一方、自らGLE社に出資して同プロジェクトに直接参加するオプションも検討している。また、残りの24%を出資しているカナダの大手ウラン生産企業CAMECO社は、サイレックス社の方針を支持している点を強調した。

 サイレックス法は六フッ化ウランを励起するレーザー分子法ウラン濃縮技術で、GE社が2006年に商業化・運用独占実施権をサイレックス社から取得。米ノースカロライナ州ウィルミントンで年間処理能力3,500~6,000トンSWUの商用濃縮施設を建設するため、2012年に米原子力規制委員会(NRC)から建設・操業許可を取得した。プロジェクトは3段階に分けて実施されており、テスト・ループによる同技術の実証という第1段階は2012年に完了し、商業生産モジュールの経済性とエンジニアリングを確認するための第2段階に入った。また2013年には、米エネルギー省(DOE)から、ケンタッキー州パデューカで閉鎖したガス拡散法濃縮工場サイトの再利用を要請され、劣化六フッ化ウランをサイレックス法で再濃縮する商用施設の建設について交渉を行っていた。

 しかし、GEH社による優先事業の変更は、同社がGLE社から離脱する動きを助長。2014年7月にGLE社の運営体制が改革されてからは、市場環境の停滞に合わせて同技術の商業化活動はペースが鈍化した。サイレックス社としては、市場環境の停滞が続いても同技術に対する原子力産業界の関心は衰えていないと認識しており、資金調達の代替方法について検討を開始。出来るだけ早急に新たな出資者を確保するための事業活動を、加速していくとした。差し当たり、GLE社に2016年予算を年末まで継続的に確保するため、最大1,000万豪州ドル(約8億5,000万円)を米ウィルミントン設備の活動費、およびシドニーにあるサイレックス社設備の運営費として充てる案を検討。パデューカでの商用施設建設案については特に、中期的見通しの中で前向きに考えていることを明らかにした。