米WCS社:使用済み燃料中間貯蔵施設の建設・操業許可を申請

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米国では1982年放射性廃棄物法に従って、国内の原子力発電所から出る使用済み燃料はDOEが1998年1月末から引き取りを開始し、深地層に最終処分することになっていた。しかし、処分場建設計画の遅れによりDOEが電力会社と結んだこの契約は履行されず、現在、多くの原子力発電事業者が自己負担で使用済み燃料をサイト内に貯蔵中。ネバダ州ユッカマウンテンで進められていた処分場建設計画を2009年にオバマ政権が打ち切った後、2012年に政府の有識者特別(ブルーリボン)委員会は「地元の合意ベースで深地層最終処分場の立地を進めつつ、複数の集中中間貯蔵施設を建設する」ことを勧告していた。
WCS社はすでに、アンドリュース郡のサイトでA~Cクラスの低レベル放射性廃棄物(LLW)を処分する連邦政府施設とテキサス州の所有施設を操業中であり、CISFの建設計画についてはアレバ社から許認可申請と環境影響評価報告書に関する支援を得ることで2015年5月に合意。その後、約1年にわたってNRCと申請前の準備会合を重ねてきたが、2015年2月時点の開発スケジュールに変更がない点を強調した。CISFは8段階に分けて建設する計画で、段階毎に5,000トンずつ貯蔵能力を追加していく方針。キャニスターに密閉封入された使用済み燃料は輸送キャスクから取り出してCISF内に移動し、発電所サイト外の最終処分場に移すまでの期間、監視付きで安全に貯蔵することになる。また、最初の操業期間である40年が経過した後は、20年間の延長も提案している。
WCS社によれば、CISFは連邦政府の使用済み燃料管理プログラムに一層の柔軟性を持たせ、深地層処分場の建設を進める一助になる。具体的な利点としては、最終処分に移行するまでに使用済み燃料の再パッケージ技術を開発する機会や、永久閉鎖した発電所サイトで関連インフラがさらに劣化するリスクを減じる機会が生まれること、CISFへの使用済み燃料輸送を成功裏に行うことで廃棄物輸送に対する国民の懸念に対処できることを指摘。また、閉鎖済みサイトから使用済み燃料を撤去するスケジュールが早まれば、電気代を通じて連邦政府の放射性廃棄物基金に払い込みをしている納税者の負担も軽減されるとしている。