WH社:中国のAP1000建設で原子炉冷却材ポンプの据付工期が改善

2016年5月11日

 東芝傘下のウェスチングハウス(WH)社は5月5日、世界初の同社製AP1000として建設されている中国の浙江省・三門と山東省・海陽の両原子力発電所で、原子炉冷却材ポンプ(RCP)の据付工期が大幅に改善されたと発表した。今年1月から4月にかけて、同社と三門核電公司、山東核電公司、国核工程公司、および中国核工業第五建設公司は両サイトで4台ずつ、合計8台のRCPを据え付けたが、最初のRCPを据え付けた三門1号機で30日間を要した作業が、最後の1台となった海陽1号機用RCPでは19日しかかからなかったと強調。先行する作業経験の積み重ねと良慣行を取り入れたことで、工期は日数にして11日間、約37%削減されたとしている。

 三門発電所用のRCPは2012年に建設サイトに搬入されたが、2013年1月に海陽発電所用RCPの最終検査で羽根車の脱落といった不具合が見つかったため、米国に返品された経緯がある。これらの羽根車は米国のカーチス・ライト社の子会社が製造したものだが、同社とWH社および中国側が協力してRCPの設計を変更。2015年10月には最終性能検査と検査後点検が成功裏に完了済みとなっていた。

 WH社は今回のRCP据え付け経験を、これからRCPを設置する三門2号機と海陽2号機、および米国のボーグル(110万kWのAP1000×2基)、V.C.サマー(110万kWのAP1000×2基)の両原子力発電所での作業に活かす考え。三門と海陽では2009年にそれぞれ、1、2号機(各125万kWのAP1000)が着工されたが、ともに3、4号機を増設する計画があり、いずれも125万kWのAP1000を採用するとしている。