米OPPD社:CEOがフォートカルホーン原子力発電所の早期閉鎖 勧告

2016年5月16日

©OPPD社

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 米国のオマハ・パブリック・パワー・ディストリクト(OPPD)社は5月12日、同社のT.バーク社長兼CEOが同日の月例取締役会で、ネブラスカ州にあるフォートカルホーン原子力発電所(FCS)(PWR、53万kW)(=写真)の運転を今年末で終了すべきだと勧告したことを明らかにした。同社の電源計画を徹底的に審査した結果、FCSのように単機で低出力の原子力発電所では、財政的には持続可能性の低いことが明確になったと説明。2013年に運転期間の20年延長を許可された同発電所は2033年8月まで運転が可能だが、6月16日の取締役会でこの勧告に対する票決を実施し、閉鎖が決まった場合はただちに廃止措置を開始することになる。

 バークCEOの勧告は、4月の取締役会でM.マインズ会長が経営陣に対して、同社の将来的な電源構成要素に関するシナリオの検討と、5月の取締役会における勧告の提示を指示したのに伴う措置。急速かつ大きく変化しつつある原子力産業界を背景に、同会長はOPPD社の電源構成の大規模改革につながった2014年電源計画の成功例に習い、信頼性が高く環境にも優しいエネルギーを適正価格で顧客に提供する使命を果たすべく今回の指示を出したという。バークCEOは、市場状況や経済規模の分析に加えて、米環境保護庁(EPA)が昨年提案した発電部門のCO2排出量規制案である「クリーン・パワー計画」も考慮した。

 しかし、米国では2013年以降、7基の原子力発電所で廃止措置を計画。電力市場の条件や、規制と運転面の両方でコストがかさむという現状、収益の改善に時間がかかるという産業界の傾向が、原子炉の早期閉鎖につながっているとした。また、同社の株を保有する顧客が適正な電力価格を希望しているのを受け、取締役会は2015年7月、供給地域の平均価格より20%削減するよう経営陣に指示。運転コストの高いFCSを継続して運転することは、この目標の達成を妨げるほか、FCS無しでも同社には需要に見合う十分な電力供給と盤石な信頼性の維持が可能との判断から、早期閉鎖を勧告したとしている。この勧告が承認された場合、同社は2021年まで料金の値上げは行わないと明言。多大な影響を受ける従業員とその家族、長期請負業者、および地元コミュニティなどには最大限配慮するとしており、従業員については能力に応じてできるだけ多くを他部門に異動させるなど、公平かつ誠実な措置を透明性のあるやり方で実施するとしている。