UAE:バラカ原子力発電所の運転・管理会社 設立へ

2016年5月18日

 アラブ首長国連邦(UAE)の国営通信WAMによると、UAEで原子力導入計画を担当する首長国原子力会社(ENEC)の理事会は5月17日、バラカ原子力発電所の安全な運転と管理を受け持つ100%子会社「NAWAHエナジー社(NAWAH)」の設立を承認した。また、連邦原子力規制庁(FANR)は同日、緊急事態発生時の放射線放出量などを評価するソフトウェアの利用を目的に、米原子力規制委員会(NRC)の放射線防護プログラムに参加する研究協力協定を、今年3月にNRCと締結したと発表した。UAE初の商業炉となる同発電所初号機の営業運転開始をいよいよ来年に控え、その安全な運転体制の確保や緊急時対策の整備に万全を期す考えだ。

 2012年に建設サイトで初号機(韓国製140万kW級PWR)を正式着工して以降、ENECは主契約者である韓国電力公社(KEPCO)の協力により、1年間隔で同型の2~4号機の建設を開始。現在、4基の工事が並行して進められており、今年4月に初号機の建設進捗率は87%に到達した。UAEでは原子力発電が経済成長と発展、および将来世代の生活の質向上をもたらすと認識しており、ENEC経営陣はNAWAHが原子力発電所を安全に運転できる事業者として世界的にも認められるよう、必要な資源のすべてを同社に移転・準備する。また、NAWAHの創設によりENECは、原子力平和利用プログラムの戦略的課題に集中するとともに、連邦内で原子力産業の発展を支援していくとしている。

 一方、FANRがNRCと結んだ協定により、UAEの原子力関連政府機関や大学機関はNRCが実施している「放射線防護に関するコンピューター・コードの分析管理プログラム(RAMP)」にアクセス可能になった。RAMPでは、原子力発電所で事故や緊急事態が発生した場合の放射線放出量や被曝線量を評価分析する様々なコードの開発・管理・配布を実施。参加者は最新バージョンのコードの利用や、コードエラーを解決する協力フォーラムへの参加、コード関連の定期訓練といった恩恵を受けることができる。