カザフスタンのウラン採掘事業、加カメコ社とのJVが再構築

2016年5月31日

 カナダの大手ウラン生産業者であるカメコ社は5月27日、カザフスタン南部のインカイ鉱山で同国の国営原子力企業カザトムプロム社と共同操業しているウラン採掘の合弁事業体(JV)について、協力構造を再構築する協定に調印したと発表した。カメコ社はこれまでインカイJVで60%の権益を保有していたが、新協定によりカザトムプロム社との立場は逆転し、少数権益保有者に。さらに、カザトムプロム社が建設を検討しているウラン製錬工場についても、同社技術の使用権をカザフ側に許す条項が盛りこまれた。カザフはウラン生産量で世界第1位という有数の鉱物資源国で、日本企業もウエスト・ムインクデュック鉱山やハラサン鉱山でカザトムプロム社とウラン採掘JVを操業している。

 新しい協定への調印は、カザフの首都アスタナにおける政府関係者と外国投資家との年次会合の席で行われ、同国のB.サギンタエフ第1副首相が立ち会った。新協定は、2012年9月にカメコ社とカザトムプロム社が調印した合意覚書に代わるもので、カザトムプロム社がインカイJVの権益60%を所有するとした一方、カメコ社の持分を40%に削減。JVのU3O8生産権もこれまで年間520万ポンド(約2,000トン)だったのが、年間1,040万ポンド(約4,000トン)を3年に渡って生産するとしたほか、採掘エリアのリース期間もこれまでブロック1が2024年まで、ブロック2と3では2030年までだったのが、1~3まで全てのブロックが2045年まで延長された。

 これらの条項が有効になるには、既存の資源活用契約の修正など、関係する政府機関すべての承認が必要で、特定の技術文書やその他の文書の提出などを含めて18~24か月かかる見通しである。両者はまた、カザフスタンで年間6,000トンのUO3生産能力を持つ製錬工場の設計・建設・操業について、実行可能性調査を完了させる計画。新協定には、カメコ社保有の製錬技術をカザトムプロム社が無償で使用することや、カザフでUF6転換工場を建設・操業する際、カメコ社の転換技術をカザトムプロム社が5年間使用できるオプションも盛りこまれた。両者が実際に、この製錬工場を建設すると決めた場合の条項については、新協定で以下のように規定されている。すなわち、
・製錬工場の所有権はカザトムプロム社が71.67%、カメコ社が28.33%を保有、
・カザトムプロム社はカメコ社のポートホープ施設で10年間、UF6転換サービスその他の商業支援を得るオプションを有する、
・製錬工場の試験操業開始により、インカイJVにおけるカメコ社の権益は42.5%に拡大される、
・カメコ社が提供する商業支援のレベルに応じて、インカイJVにおけるカメコ社の権益は44%まで拡大される可能性があり、製錬工場の所有権もまた、29.33%に変更されることがある。