日本技術者連盟:中国等への原子力機器供給チェーン確立に向けた取り組みで協議会

2016年6月6日

 アジアや中東、南米などの国々に対する日本人技術者や研究者の派遣支援を行っている日本技術者連盟(JEF)は6月3日、中国国内および海外への原子力発電機器・部品の供給チェーン確立に向けて、中国で4月に開催した第1回・日中合同協議会の帰国報告会を都内で開催した。すでに30基・約2,900万kWの原子炉が稼働する中国では、さらに24基・約2,700万kWを建設中のほか、海外進出も積極的に推進している。このような背景から、中国核工業集団公司(CNNC)、および秦山I原子力発電所が立地する浙江省海塩県の人民政府からは、日本に対して関係機器・部品の供給支援で強い要請があり、同協議会の開催に至ったとJEFは説明。日本側が提示した(1)日本企業の技術保有権の尊重、(2)発注情報の透明化、(3)遵法精神の厳守--という3原則のクリアが、そうした協力への条件になるとの認識で日中双方の出席者が合意文書に署名したとしている。

 訪中団の団長を務めた諸葛宗男・前東京大学公共政策大学院特任教授によると、中国側からは共産党中央政府につながる権限保有者やCNNCで発注権限を持つ上級幹部、海塩県の副知事などが参加。秦山発電所ではⅠ~Ⅲサイトと拡張サイトで個別に行ってきた運転管理を効率化するため、全機能を統合した原子力発電機器・部品総合供給センターの設立を進めており、将来的には同センターから他の原子力サイトへの供給も目指している--などの状況を報告した。また、中国の海外進出に際して日本には機器・部品の供給支援を期待していること、日本でこれら機器供給を取りまとめる企業コンソーシアムが設立されること--といった希望を表明した。

 これに対して日本側は、国内の新規建設が途絶えたことで原子力メーカーが技術と人材の維持に苦慮している実情を率直に紹介。条件が良ければ中国に対する機器・部品供給パイプの拡大もやぶさかではなく、日中でWIN-WINの関係が築けるのであれば実益を優先して実現したいとの考えを述べた。しかし、中国に対するこれまでの原子力技術移転では、いくつかの障害が発生。その反省から、日中双方は以下の点を合意文書に明記したという。すなわち、初回の契約で教示した技術ノウハウが中国企業に流れないよう、日本企業の技術保有権を尊重するとともに長期的な発注を行うこと、原子力資材の発注等における不公正な取引を防止するため透明性に配慮し、日本企業に最新かつ正確な発注情報を提供する、日本の原子力技術が中国で軍事利用される懸念を払拭するため、知的財産権の保護や日本の輸出管理の法令を遵守する、--である。