EC:独カールスルーエの原子力共同研究センターに新たな研究棟建設へ

2016年6月17日

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 欧州委員会(EC)は6月8日、ドイツのカールスルーエにある原子力関係の共同研究センター(JRC)に、最新の設備を備えた新しい研究棟を建設すると発表した。EU加盟国が最先端の原子力研究を引き続き実施できるよう、最高レベルの原子力安全・セキュリティおよび保障措置に従って学生や研究者に原子力分野における設備の利用や訓練の機会を提供。同サイトのインフラ設備改修により、同分野でEUの専門的知見と技術力を今後も維持していくことを目指す。同日、現地で開催された起工式にはT.ナブラチチ教育・文化・青少年・スポーツ担当委員やG.エッティンガー・デジタル経済・社会担当委員らが参加(=写真)。今月中にも研究棟「ウィングM」の建設工事が始まるとしている。

 JRCは、欧州原子力共同体(ユーラトム)条約に定められた原子力研究・教育・訓練分野の義務事項遂行を可能とするため、必要な科学的支援を過去50年以上にわたりECに供給。放射性廃棄物の管理や原子力施設の安全確保、原子力保障措置とセキュリティについてEU政策を策定する際にも、科学的な助言を独立の立場から提示するなど、重要な役割を果たしてきた。また、全般的科学の進展やアクチニドと放射性廃棄物の処理処分に関する研究で必要な特別の取り扱い施設についても、利用の機会と専門的知見をもたらしているほか、ガン治療など医学利用される放射性同位体の生産と調査においても大きな役割を担っている。