URENCO社:英国のEU離脱決定で今年上半期に850万ユーロの純損失

2016年8月26日

 世界でウラン濃縮役務を供給する4大企業の1つで、英国を本拠地とするURENCO社は、8月24日に今年上半期の決算報告書を公表した。6月末までの期間に同社の収益と金利・税金・償却前利益(EBITDA)は、ほぼ前年同期並みだったものの、英国による先般の欧州連合(EU)離脱決定を受けてポンド安が進行。このような為替動向の悪影響により、昨年上半期に1億6,600万ユーロ(約188億円)の純利益を計上していたのが一転、今年は850万ユーロ(約9億6,400万円)の純損失を出したことを明らかにした。同社は英国とオランダおよびドイツの3地点で遠心分離法濃縮工場を操業しており、英国カーペンハーストでは現在、劣化六フッ化ウランを八酸化三ウランに転換・貯蔵管理する施設(TMF)も建設中。上半期の総投資額2億700万ユーロ(約234億6,700万円)(前年同期比-26%)のうち約6割はTMF関連だが、スケジュール通り2017年に営業運転を開始できるとしている。

 上半期の6か月間に、同社の収益は前年同期実績から260万ユーロ(約2億9,500万円)増の5億8,920万ユーロ(約667億9,500万円)に上昇しており、同社は良好な実績を収めたと評価。濃縮役務の売上がわずかに低下した分を、他のウラン供給関係の好調な売上で補ったと説明したほか、2030年までの受注残高が158億ユーロ(約1兆7,900億円)にのぼる点を強調した。EBITDAは約4%減の3億2,180万ユーロ(約364億8,500万円)となったが、それはこのような売上実績の変化や保有施設の運転最適化にともなう引当金の上昇などが原因だとした。また、前年同期に660万ユーロ(約7億4,800万円)の財務利益を上げていたのに対して、今年は財務コストとして1億7,520万ユーロ(約198億6,400万円)を計上。理由としては、リスク回避策を取っていなかった貸付残高について、為替レートが大幅に乱高下した時期に再換算する必要が生じ、8,360万ユーロ(約94億7,800万円)の金融経費がかかったことを挙げた。850万ユーロの純損失についても同様に、金融経費の増大による影響が主な原因だとした。

 今後の見通しについて同社はまず、原子力が長期的なビジネスであり、バランスの取れたエネルギー・ミックスにおける重要要素であるとの認識を明示。原子力事業は将来的に成長していくとの見通しを示す一方、短期的には世界の濃縮市場で在庫の量と価格圧力が拡大し続けると予測した。英国のEU離脱決定が同社の日々の運営に直ちに影響を及ぼすことはないにせよ、政治的・経済的な不確定要素が増大したことは事実であり、これが世界経済に及ぼす長期的な影響や、濃縮ウラン市場、および同社の3濃縮工場との関わり合いについて評価するのは時期尚早との見方を示している。