ヨルダンの導入計画で2017年前半に資金調達FSの結果公表へ

2016年9月5日

 ヨルダン初の原子力発電所建設計画を受注したロシアのロスアトム社は9月2日、総工費100億ドルの調達に関するフィージビリティ・スタディ(FS)の結果が2017年前半に整うとの見通しを明らかにした。ロシアのウラジオストクで東方経済フォーラム(EEF)が開催されたことに合わせ、同社のS.キリエンコ総裁がメディアに対して述べたもので、同FSでは主に、資金調達に関する疑問点への回答を盛りこむ予定。プロジェクトの最終投資判断を下す際に必要となる技術的側面と資金調達面の両方でFSを完了させるとしている。

 石油資源に恵まれないヨルダンではエネルギー資源の97%を輸入に依存。原子力発電を導入することで、2020年代に国内の電力需要の12%を賄うとともに、海水の脱塩にも利用する方針。2013年10月にロスアトム社を発注先に選定しており、100万kW級のロシア型PWR(VVER)を2基、首都アンマンの東85kmのアムラで建設する計画を進めている。2015年3月に、原子力発電所の建設と運転に関する二国間協定をロシアと締結した後、2015年11月には、同計画の推進にともなう放射性廃棄物の取り扱い戦略や資金調達の最良オプションとメカニズムについて助言を得るため、政府は世界中の原子力分野の専門家で構成される国際諮問グループ(IAG)を設置すると決定。今年2月には初会合を開催していた。

 同国の元首相を議長とするIAGでは、日本の原子力委員会の尾本彰・前委員や英原子力規制局(ONR)のM.ウェイトマン元長官や米原子力規制委員会(NRC)のR.メザーブ元委員長、米エネルギー省(DOE)のP.ライオンズ元原子力担当・首席エネルギー次官補代理など、錚々たるメンバーが委員を務めている。国営ペトラ通信によると、8月20日にIAGは最初の報告書を政府に提示しており、2024年の初号機の運転開始を念頭に、同プロジェクトが国際的な安全基準に沿って、透明性を維持しながら推し進められているとした。その際、ヨルダン原子力委員会(JAEC)のK.トゥカン委員長が資金調達問題に言及し、80~85%がすでに確保済みであると明言。残りについても目処がつきつつあると強調した。ただし、同日付の現地の報道では、同委員長は「2017年末までに十分な資金が調達できれば、2025年までに初号機を運転開始できる」とコメントした模様。100億ドルのうち約30%はヨルダンとロシアで平等に負担するが、タービンや電気システムの支払い分となる残り70%の確保については、JAECがドイツやチェコ、中国、日本の企業と交渉中だと述べたことが伝えられている。