米GSE社:日英の顧客から発電所シミュレーターの最新化契約受注

2016年9月13日

 米メリーランド州を本拠地とするGSEシステムズ社は9月6日、複数の原子炉が設置されている発電所用のシミュレーター・プラットフォームを最新化する契約を日本と英国の顧客から獲得したと発表した。同社はリアルタイムで動作する高品質なシミュレーション・システムの開発と提供が専門の企業。発電所の設計および運転員の訓練用に同社が開発した「JADEシミュレーション・ソフト」により、原子力発電所では運転員の訓練に必要な近代的なシミュレーション技術や、解決しなければならない複雑なエンジニアリング問題への助言を得ることができると強調。これら2件の国際プロジェクトで得られる受注残高は、600万ドル以上にのぼるとしている。

 同社は顧客名を明らかにしていないが、日本における契約の内容は、福島第一原子力発電所事故後の規制環境下で要求される設計や能力に応じて、運転員とエンジニアの包括的な訓練が行える近代的なシミュレーターを主要な原子力発電事業者に納入すること。具体的には、顧客が現在保有するシミュレーター内の既存モデルをすべて取り替えるのが主な業務となる。このように大規模なソフトの最新化と新しいシミュレーション機能を通じて、顧客は福島第一事故後の規制変更に合わせた将来的な技術のアップグレードなど、GSE社から長期的な保守サービスを受けられるとした。

 また、数十年ぶりの原子力発電所新設計画が進展中の英国では、顧客が世界的な規模で認定される訓練プログラムの作成に取り組んでいるため、GSE社は顧客が1990年代初頭に導入した古いシミュレーション・モデルとコンピューター・ハードウェアを、最新かつ価値の高い発電所シミュレーション・システムと取り替える予定。そのほか、発電所全体に関わる事象についても訓練が行えるよう、同じ所内で2基目の原子炉についてもモデリング作業を実施するとしている。