フィンランドのポシバ社、チェコに最終処分場ノウハウ提供へ

2016年10月19日

 フィンランドで世界初となる使用済燃料の最終処分場建設計画を進めているポシバ社は10月14日、チェコ政府の使用済燃料最終処分プロジェクトに専門的知見を4年にわたって提供する275万ユーロ(約3億1,500万円)のサービス契約をチェコ放射性廃棄物処分庁(SURAO)から獲得したと発表した。ポシバ社は今年6月、同社が最終処分に関して保有する技術的ソリューションのマーケティング子会社として、ポシバ・ソリューションズ社を設立。チェコのプロジェクトには、この子会社がフィンランドのエンジニアリング企業や地質調査所(GTK)、およびスウェーデンのSKBインターナショナル社とともに参加予定で、フィンランドの最終処分場建設予定地に併設した地下岩盤特性調査施設(ONKALO)で得られた経験を提供するなど、この分野における知見の商業ビジネスを世界レベルに拡大していく考えだ。同社はすでに、フィンランドのピュハヨキでハンヒキビ原子力発電所の建設を計画しているフェンノボイマ社から、同様の技術専門サービス供給契約を受注。このほか複数の国からも打診があったことを明らかにした。

 チェコでは現在、ドコバニとテメリン、2つの原子力発電所で6基が稼働しており、使用済燃料と高レベル放射性廃棄物(HLW)を安全に管理する方法として、政府は深地層における最終処分を選択。SURAOは2065年の深地層処分場(DGR)の操業開始を目標に、2014年に建設候補に残っている7地点すべてで第1段階の地質調査を実施することを承認した。今回の契約はSURAOとポシバ社が2015年11月に結んだ協力覚書に基づいており、SURAOは2025年までにDGRの建設サイトを最終決定する方針だとコメント。フィンランドの専門家との協力を通じて、立地戦略の改定や処分概念とDGR設計の作成、および処分概念のセーフティ・ケース改良などに関する助言を得たいとした。また、DGR建設計画の環境影響声明書(EIS)作成やステークホルダーとの交流促進、DGRの社会的受容性の拡大などにおいても支援を期待するとしている。