韓国電力公社、UAEのバラカ原子力発電所の運営管理に参加

2016年10月21日

 韓国の産業通商資源省(MOTIE)は10月20日、韓国電力公社(KEPCO)の企業連合がアラブ首長国連邦(UAE)で建設中のバラカ原子力発電所(140万kWのPWR×4基)について、KEPCOが首長国原子力会社(ENEC)の運営管理事業法人に共同投資することになったと発表した。9億ドルを投資して一定の持分を確保し、4基の原子炉が稼働する60年間に合計491億ドルの売上を得る見通し。今回の事業契約締結により、韓国とUAEの関係は原子力発電所の安全な運転を共通目標とするパートナー関係に格上げされると強調した。

 UAE国営通信によると、この日、KEPCOとENECが締結したのは、UAEの原子力平和利用プログラムにおける長期的な連携と協力のための合弁事業契約。バラカ原子力発電所建設プロジェクトの資金調達・管理を行う新会社「バラカ・ワン」をENECの子会社として創設し、KEPCOは同社株の18%を取得。残り82%はENECの持分で、同社の最高財務責任者(CFO)がバラカ・ワン社の最高経営責任者(CEO)代行を務めるとした。また、バラカ発電所の運転管理会社としてENECが今年5月に創設した「NAWAHエナジー社」についても、KEPCOは18%を保有することになる。バラカ・ワン社が管理する資金総額については244億ドルになるとの報道があり、直接借款の196億ドルと株式転換確約社債の47億ドルで構成される模様。この関連で韓国輸出入銀行(KEXIM)は同日、バラカ建設プロジェクトの資金調達として、ENECに対し31億ドル規模の融資を行う契約書に調印したと発表している。

 KEPCOが率いる韓国企業連合は2009年末、約200億ドルで140万kW級の原子炉「APR1400」を4基、設計・建設するとともに、追加200億ドルでそれらの運転支援、機器の取替・検査を60年にわたって請け負うとする契約をENECと締結。アブダビ首長国西部に位置するペルシャ湾岸のバラカで、2012年から1号機の建設工事を開始した。現在は1~4号機の作業を同時に行っている状況で、これら全体の進捗率は71%に到達。1号機の営業運転は2017年を予定しており、ENECは年内にも最初の燃料を装荷したい考えだ。2020年に4基すべてが完成すれば、UAEにおける総電力需要の約25%を賄えるだけでなく、年間1,200万トンのCO2排出が抑制できると期待している。