ウクライナ:既存炉の出力増強等でGEパワー社と協力覚書

2016年10月24日

©エネルゴアトム社

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 ウクライナの原子力発電公社であるエネルゴアトム社は10月20日、国内の稼働中原子力発電所で機器の最新化を図るため、仏アルストム社のポーランド支社だったGEパワーSp.zo.o.社との協力を拡大する了解覚書を同社と締結したと発表した。同覚書を通じて、既存炉の長期的な機器サービスに関する協力範囲を広げ、近代的な技術ソリューションに基づくプロジェクトを実施する計画。米国のGE社は昨年11月に大手重電機器メーカーであるアルストム社のタービン事業買収を完了しており、アルストム社の技術で機器改良を行えば原子力発電所の効率性と安全性が強化されるほか、タービン・ホール機器の最新化は出力増強につながると強調している。

 覚書への調印は19日にキエフにあるエネルゴアトム社の中央オフィスで、同社のY.ネダシコフスキー総裁とGEパワー社のR.ブツケ副社長が行った(=写真)。ネダシコフスキー総裁は、機器改良を目的とする新たなプロジェクトおよび発電機器の最新化サービスの両分野において、両社には協同事業を実施する潜在的に大きな可能性があると指摘。効率性と安全性の強化プログラムを実施していく上で、今回の協力拡大は重要との認識を示した。

 チェルノブイリ事故後30年が経過したウクライナでは、国内の商業炉15基(40万kW~100万kWのVVER)で総発電量の50%近くを発電。エネルゴアトム社は2006年に内閣が承認した2030年までのエネルギー戦略に従い、経年化が進んだ11基について、VVERの公式運転期間である30年を超える運転の継続計画を実施している。ウクライナの国家原子力規制検査庁(SNRC)は2010年12月に同国で初めて、20年の運転期間延長をロブノ1、2号機に許可したほか、2013年と2015年には南ウクライナ1、2号機の運転期間10年延長を承認。今年9月から10月初旬にかけては、ザポロジェ1、2号機が運転期間の10年延長手続を終えて再起動を果たしている。なお、チェルノブイリ事故により1990年に工事が中断したフメルニツキ原子力発電所3、4号機の完成計画については、ロシアとの関係悪化にともない請負業者をアトムストロイエクスポルト(ASE)社から韓国水力・原子力会社(KHNP)に変更する方針。KHNP社とは協力覚書を締結したと8月に発表していた。