ベトナム国会:日露が受注した原子力発電所建設計画の白紙撤回決議案を審議

2016年11月16日

 ベトナム首相府の11月14日付けウェブサイトによると、同国政府は日本とロシアが受注した同国初の原子力発電所建設計画について、白紙撤回決議案を現在開催されている第14期第2回国会で審議する。これに先立つ10日に商工省(MOIT)のチャン・トゥアン・アイン大臣と国会科学技術環境委員会のファン・スアン・ズン委員長が同原子力発電所建設計画に関する報告書を国会に提示。白紙撤回を検討している理由の1つとしてベトナム電力公社(EVN)のズン・クアン・タイン社長は、同計画の決定時と比べて石炭や石油、天然ガスといった一次エネルギー源が廉価となり、原子力発電への投資に経済的な競争力がなくなったことを挙げた。MOITのチャン・トゥアン・アイン大臣も、経済成長の鈍化にともない電力需給関係のコストすべてでバランスを取る必要性があるとし、国の電力計画においては原子力のような電源について大幅な調整を行っているところだと説明した。同決議案に関する採決結果は22日に明らかになると見られている。

 ベトナム政府は中南部ニン・トゥアン省の2サイトでそれぞれ2基の原子炉建設を計画し、2010年にフォック・ディンの第1原子力発電所建設についてロシアと協力合意文書を結んだほか、ビン・ハイの第2原子力発電所を建設するパートナーとして日本を選定した。近年の日程では、第1サイトの着工は2014年に予定されていたが、ベトナム科学技術省(MOST)のホアン原子力局長は2015年12月、福島第一原子力発電所事故の影響でサイトを移動したため環境影響評価が長期化し、着工は2020年まで延期されると発言。第2発電所計画にも遅れが生じると予想されていた。