仏アレバ社:原子炉事業部門の売却でEDFとの正式契約書に調印

2016年11月18日

 仏アレバ社は財政再建計画の一環として、原子炉事業部門であるアレバNP社を売却することで2015年7月にフランス電力(EDF)と合意したが、11月15日付けで両社が法的拘束力のある取引契約に調印したと発表した。同契約は、アレバNP社の100%子会社として発足する新会社(ニューNP社)の独占的支配権も含めた株式の売買取引条件を定めており、全株式の取引価格は25億ユーロ(約2,927億円)とすることを確認。今回の契約でEDFはニューNP社の最大75%まで取得するが、今後はニューNP社株の取得に関心を持つその他の戦略的投資家と本格的な取引協議を数週間以内に開始し、独占的支配権が保持される最低51%までニューNP社株の保有率を下げる方針だ。これにより、アレバ・グループにおける原子炉機器の設計と製造、燃料設計と集合体製造、および関連サービスといった活動はニューNP社に統合。それ以外の核燃料サイクル部門などはアレバ社の「新会社」として設立し、ニューNP社株の15%を所有するが、残りの株式については少数株主の所有になるとしている。

 今回の取引では、原子炉事業部門の中でも問題が生じている契約のいくつかを除外。すなわち、作業の遅れにより賠償請求裁判が行われているフィンランドのオルキルオト3号機建設計画、傘下のクルーゾー・フォルジュ社が製造した品質に問題のある鍛造機器関連の契約などで、これらはアレバ社の管轄内に留め置くとした。また、クルーゾー社製機器の品質保証書で不正が判明したことにともなう契約上の義務、および必要であればサンマルセルとジュモンにある工場の義務事項についてもアレバ社が保証する。

 同社はすでに、この取引に関する従業員代表団体への説明を終えており、売買手続が完了するのは2017年後半になる予定。ただし、それには以下の条件をクリアすることが前提だとした。すなわち、(1)建設中のフラマンビル3号機における一次系の試験結果について仏原子力安全規制当局(ASN)から肯定的な審査評価を得る、(2)クルーゾー、サンマルセルおよびジュモンの各工場における品質監査で要件を満たしているとの結論を得る、(3)企業合併に関する規制当局から承認を得る、である。