米規制委:ベルフォンテ3、4号機増設計画のCOL申請取り下げを許諾

2016年11月25日

 米国の連邦官報によると、米原子力規制委員会(NRC)はアラバマ州のベルフォンテ原子力発電所3、4号機増設計画の建設・運転一括認可(COL)申請について、事業者であるテネシー峡谷開発公社(TVA)による取り下げ要請を11月16日付けで許諾した。25日付けの連邦官報で正式に公表するとしている。TVAは2007年、ニュースタート企業連合の一員として、ウェスチングハウス(WH)社製AP1000を採用した両炉の増設計画でCOLを申請。しかし、2010年9月にCOL審査の一時停止をNRCに要請したのに続き、2016年3月には申請の取り下げを要請していた。

 ニュースタート社は、COLを必要とする新しい許認可システムの実用性と適性を評価するため、原子力発電最大手のエクセロン社を中心とする電力10社が2004年に設立したコンソーシアム。当面の目標としてAP1000とGE社製ESBWR(高経済性・単純化BWR)の採用計画でCOLを取得し、2014年までに運転可能とすることを目指していた。その後NRCは、AP1000を採用したボーグル3、4号機増設計画とV.C.サマー2、3号機増設計画に対し、2012年2月と3月にCOLを発給。ニュースタート社は当初の目標が達成されたとして同年6月に解散しており、各自がそれぞれの建設計画に資源を集中することになっていた。

 ベルフォンテ発電所では1970年代にバブコック&ウィルコックス(B&W)社製PWRとして1、2号機が本格着工したものの、電力需要の低迷などを受けて1980年代に工事が一時中断。両炉のうち1号機についてのみ、TVAは2011年に建設再開を決めた。しかし、同様に建設工事を再開したワッツバー2号機の完成を優先したため作業は再び停止。今年5月にTVAは一部完成した1、2号機を関連施設や敷地などとともに公開オークションにかける方針を決定し、今月14日にはワシントンDCの投資グループであるニュークリア・デベロップメント社に1億1,100万ドルで売却することを決定した。TVAは2015年の統合資源計画で「少なくとも今後20年間は新たな大規模ベースロード電源は不要」との可能性が示されたことを売却理由とした一方、ニュークリア・デベロップメント社はCO2を出さない原子力の特長が長期的には有効との判断から、両炉に総額130億ドルを追加投資して完成させると明言している。