米エンタジー社:パリセード原子力発電所を2018年10月に早期閉鎖へ

2016年12月12日

        ©エンタジー社

 米ミシガン州でパリセード原子力発電所(PWR、85.7万kW)(=写真)を運転するエンタジー社は12月8日、同発電所を2018年10月1日付けで早期閉鎖する方針を明らかにした。同発電所による発電電力をほぼ100%購入していたコンシューマーズ・エナジー社が、現行の電力購入契約(PPA)の早期打ち切りでエンタジー社と合意したことによるもの。コンシューマーズ社によると、同州の公益事業委員会がPPA打ち切りを承認すれば、同社の顧客は1億7,200万ドルのコスト支払いを節約でき、同社は他のクリーン・エネルギーや信頼性のある発電技術への追加投資が可能になる。PPAを2018年5月末で打ち切ることについて公益事業委から承認を取得し、10月1日まで電力購入を行う新たなPPAをエンタジー社と締結する計画だ。エンタジー社も、永久閉鎖の意思とその後の廃止措置計画について、中西部独立系統運用機関(MISO)および米原子力規制委員会(NRC)に報告する考え。これらからの承認取得を経て、同発電所では2017年春に最後の燃料交換が行われることになる。

 パリセード発電所は元々、コンシューマーズ社が2007年にエンタジー社に売却した発電設備で、その際の売却条件として15年間のPPA契約が両社間で結ばれた。しかしその後、電力市場を取り巻く状況が一変し、両社は「顧客に電力を提供する選択肢として、今やもっと経済的なものがほかにある」との認識で一致。2022年4月まで運転予定だった同発電所を早期閉鎖することで、残りの4年間にコンシューマーズ社の顧客が支払うはずだった1億7,200万ドルのコストを削減することができるとした。また、エンタジー社に対しては同額を支払うことになっており、同発電所を運転から廃止措置に移行する際に役立てられると述べた。エンタジー社も経営面の影響について、現行のPPA満了時点までパリセード発電所を運転継続した場合と比べて余剰資金が黒字になると予測。2018年時点の永久閉鎖は運転継続の事業リスクを鑑みれば良識的な判断だと説明した。

 なお、両社は早期閉鎖により地元コミュニティが被る過渡的影響の緩和策を検討しており、ミシガン州南西部の地域に対して、合計1,000万ドルの経済開発基金を数年にわたって支援していく方針。コンシューマーズ社が200万ドル、エンタジー社が800万ドルを拠出するという計画で、今後この件について同州の基盤支援審議会および地元のステークホルダーと協議する。また、エンタジー社は同発電所従業員の処遇についても適正に取り扱うことを約束。社内での異動希望者や退職希望者を適切に支援していくとしている。