韓国:新古里3号機が初のAPR1400として営業運転開始

2016年12月21日

©KHNP社

 韓国水力・原子力会社(KHNP)は12月20日、世界で初の「APR1400」設計採用炉として新古里原子力発電所3号機(PWR、140万kW)(=写真右)が営業運転を開始したと発表した。これにより、同国の原子力発電設備は25基、約2,310万kWとなり、総発電設備に占める割合は約22.1%となった。2008年10月に本格着工した同炉に対して、原子力安全委員会は2015年10月に運転許可を発給。同年12月に初めて臨界条件を達成し、2016年1月から送電網に接続されていた。今後は年間約104億kWhを発電予定で、韓国南東部の釜山市と蔚山市、および慶尚南道地域における電力需要の約12%を賄うことになる。

 「APR1400」は、米コンバッション・エンジニアリング(CE)社(現在はウェスチングハウス社に統合)の130万kW級PWR設計「システム80+」をベースに韓国が開発した大型PWR。原子炉格納容器の安全性向上や中央制御室のデジタル化、建設工期の短縮(48か月)といった改良が図られたほか、設計寿命も国内の既存炉が40年であるのに対し60年に向上したとしている。同設計はまた、韓国の原子力コンソーシアムがアラブ首長国連邦(UAE)で建設中のバラカ原子力発電所(4基)にも採用されており、KHNP社は当初、これらの参照プラントである新古里3号機の営業運転開始を2013年末に予定。UAEに対し同設計の安全性を保証するため、2015年9月までには開始すると誓約していたという。しかし、同炉の安全系制御ケーブルで検査結果の偽造が発覚したため取替作業が必要となり、営業運転の開始スケジュールは大幅に遅れることになった。

 現在、同様に「APR1400」設計を採用した新古里4号機の建設工事が進んでおり、KHNP社は2017年上半期にも運転許可を取得して試運転を実施する計画。営業運転の開始は同年末になる見通しだ。また、新ハヌル(旧名:新蔚珍)原子力発電所でも1、2号機に同設計を採用して建設工事を実施中。さらに、計画中の新古里5、6号機、および新ハヌル3、4号機でも、同設計を採用予定となっている。