英国:中国製原子炉の国内建設に向け、規制当局が事前設計認証審査開始へ

2017年1月11日

 英国の原子力規制局(ONR)は1月10日、中国製・第3世代原子炉設計「UK-HPR1000(華龍一号)」の英国内での建設に向け、必要となる包括的設計審査(GDA)の開始をビジネス・エネルギー・産業戦略省(BEIS)から要請されたと発表した。GDA申請企業との合意協定が締結され次第、審査を開始する。

 同設計は、EDFエナジー社がエセックス州ブラッドウェルで計画している新設プロジェクトに採用予定で、同社が2015年10月、サマセット州ヒンクリーポイントC(HPC)原子力発電所建設プロジェクトに対する投資約束を中国広核集団有限公司(CGN)から取り付けた際、付随項目として合意していたもの。この時の戦略的投資協定に基づき、英国版HPR1000のGDA活動にともなう全経費は、EDFとCGNが審査活動の管理会社として設立した合弁企業「ジェネラル・ニュークリア・サービシズ(GNS)社」が負担する。英国のT.メイ政権は発足して約2か月後の2016年9月、国内で数十年ぶりの原子力新設計画となるHPCプロジェクトの実施を決めたが、BEISのJ.ノーマン政務次官は10日の国会でGNS社による今回の投資を歓迎するとの政府声明を公表。EDFエナジー社も、英国版HPR1000を2基設置するというブラッドウェルB原子力発電所建設プロジェクトの実施許可取得に向け、堅実かつ完璧なプロセスの第一歩が刻まれたとの認識を示した。

 中国では国家能源局(NEA)による2013年の「原子炉輸出の国家戦略化」政策を踏まえて、CGNによる「ACPR1000+」設計の開発と中国核工業集団公司(CNNC)による「ACP1000」開発を「華龍一号」に一本化。中国が知的財産権を有する第3世代の輸出用PWR設計という位置付けで、2014年に全体設計が承認された。中国国内ではCNNC版「華龍一号」の実証炉計画として2015年に福清5、6号機、CGN版「華龍一号」の実証炉計画として同年12月と2016年12月に防城港3、4号機が本格着工した。EDFエナジー社の発表によると、GNS社は2016年10月にブラッドウェルB発電所用としてCGN版「華龍一号」のGDA実施をBEISに申請しており、防城港3号機はブラッドウェルB発電所の参照プラントになるとしている。

 GDAは英国内で初めて採用・建設される原子炉設計の事前認証審査で、土木建築から原子炉化学まで17の技術分野にわたる。安全性についてはONRが、環境影響面については環境庁(EA)が担当し、対象設計が安全・セキュリティと環境保全、廃棄物管理の側面で英国の基準を満たしているかを評価する。最終的にONRが設計容認確認書(DAC)を、EAが設計容認声明書(SoDA)を発給するまで約5年を要するが、これまでに仏アレバ社製欧州加圧水型炉(EPR)に対してこれらが発給された。同設計はEDFエナジー社のHPCプロジェクトと、サフォーク州サイズウェルC原子力発電所建設プロジェクトで採用される予定である。

 CGNは2015年の戦略的投資協定で、HPCおよびサイズウェルCの両プロジェクトに対して、それぞれ33.5%と20%の出資を約束した一方、ブラッドウェルBプロジェクトが建設段階に入った場合は、66.5%を出資する方針。EDFエナジー社をパートナーに、CGNが同プロジェクトを主導するということで両社は合意済みだ。ただし、同プロジェクトは今のところ事前計画の初期段階にあり、建設計画の申請に必要な詳細提案を作成する前に、様々な調査作業や公開協議の実施で数年間を要する見通し。また、GDAプロセスの完了に加えて、ONRのサイト許可(NSL)や担当省の開発合意書(DCO)など、複数の許認可取得が必要となっている。