台湾:2025年までの脱原子力を盛り込んだ改正電気事業法案 可決

2017年1月12日

 台湾政府の経済部能源局は1月11日、国会にあたる立法院が同日、2025年までの脱原子力達成を盛り込んだ改正電気事業法案を可決したと発表した。2016年1月に発足した民進党の蔡英文政権は党是として脱原子力を打ち出しており、電気事業法の改正では4つの重要な改革項目の1つとして、2025年までに「非核家園(原子力発電のないふるさと)」を目指すと明記。これにより、既存3サイトの原子炉6基は40年の運転期限を迎えた時点で期間の延長を行わず、順次廃止する。不足分は省エネや再生可能エネルギー源の拡大などで補っていく方針だが、原子力発電所が供給していた総発電電力量の16.3%(2015年実績)をこれらで代替できるかという点については疑問視する見方もある。

 経済部の発表によると、改正電気事業法の柱は再生可能エネなどのグリーン・エネルギー開発に努力を傾注し、エネルギーの移行を実行に移すこと。再生可能エネ源による発電・売電の自由化など開発環境の規制緩和を通じて、一層多くの再生可能エネを電力市場に導くとした。また、顧客は台湾電力以外の再生可能エネ業者から電力を選択購入することが可能になるほか、革新的な技術の事業開発モデルを構築することで、電力インフラの増強や関連産業への投資増強を促進する。さらに台湾公営の中央通信社は、台湾電力が発電部門と送配電部門に分社化されることになると伝えている。

 台湾では稼働中の原子炉6基に加えて、バブコック日立や東芝が圧力容器を受注した龍門(第4)原子力発電所(135万kWのABWR×2基)が1999年から建設中だった。しかし、福島第一原子力発電所事故を受けて反原子力の世論が高まり、当時の馬英九総統は2011年11月、龍門発電所を完成させる一方、既存の原子炉は40年の運転期間満了後に閉鎖していく政策を明らかにした。その後も、龍門発電所の建設中止を求める抗議運動が激化したことから、馬総統は2014年4月、ほぼ完成していた1号機を密閉管理するとともに、2号機の建設作業を凍結する方針を公表。これらの作業は2015年7月に完了していた。現在の閉鎖日程では、金山(第1)原子力発電所の2基が2018年12月と2019年7月に、國聖(第2)原子力発電所の2基が2021年12月と2023年3月、馬鞍山(第3)原子力発電所の2基が2024年7月と2025年5月に運転期間を満了する予定である。