仏電力、フェッセンハイム原子力発電所の閉鎖にともなう補償条件を承認

2017年1月27日

 フランス電力(EDF)は1月24日、フェッセンハイム原子力発電所(90万kWのPWR×2基)を永久閉鎖した場合の損害賠償として、政府から支払われる補償金の条件協約を同日の理事会で承認したと発表した。フランスでは2015年に成立したエネルギー移行法により、原子力発電設備を現状レベルの6,320万kWに制限することが決定。建設中のフラマンビル原子力発電所3号機(FL3)(163万kWのPWR)が2018年後半に完成するのにともない、国内最古のフェッセンハイム発電所が閉鎖されることになった。技術的な問題以外での早期閉鎖であることから、補償に関する交渉が政府とEDF間で続けられていた。

 発表によると、補償金は2016年7月に公表されていた通り、固定部分と変動部分の二本立てで支払われる。今回承認された詳細事項は以下のとおり。
・固定部分の総額は約4億9,000万ユーロ(約601億円)で、内訳は職員の再訓練費や廃止措置経費、地方原子力税、「運転停止後フェーズ」の関係費用など。2019年に20%、2021年に残り80%が支払われる。
・変動部分は閉鎖にともなう2041年までの発電量不足をカバーするのが主旨。この期間中の電力卸売価格と、フェッセンハイム発電所を除いた90万kW級原子炉シリーズによる実際の発電量に基づいて金額を決定する。独EnBW社など、同発電所の出資パートナーも、一定の条件下では契約比率に応じて補償金を受け取ることができる。

 このほか、同発電所の運転認可を無効とする法令の公布も必要であるため、FL3が完成すると同時に効力を発するよう、EDFが公布要請することになった。その際はさらに、大規模な安全審査により長期停止しているパリュエル2号機の運転再開と、4月に満了するFL3の建設許可延長が条件になるとしている。