チェコ:増設計画の加速で原子力常設委員会に3つの作業部会設置

2017年2月2日

 チェコのJ.ムラーデク産業貿易相は1月25日、政府の「原子力発電に関する国家アクション計画(NAP・NE)」に新たな推進力を与えるため、原子力に関する常設委員会に3つの作業部会を設置すると発表した。NAPは既存のドコバニ、テメリン両原子力発電所に少なくとも1基ずつ、可能であれば2基ずつ増設する準備を開始する必要があると指摘しており、チェコ電力(CEZ)は2016年7月、ドコバニ発電所におけるリプレース用の原子炉2基の増設計画について、環境影響評価の準備を始めていた。作業部会は(1)財務、(2)法制、(3)技術・投資--の3戦略について各々、分析するとしており、様々な事業投資モデルを準備するとともに、経済性分析を実施予定。国家予算や公的資金を投入した場合の影響、EUの国家補助規則との整合性についても分析すると説明した。

 2015年の「国家エネルギー戦略」の中で、チェコ政府は2040年までに原子力発電シェアを6割まで上昇させる必要があると指摘。NAP・NEは同戦略のフォロー計画という位置づけで、化石燃料のシェアを下げた将来のエネルギー・ミックスにおいて、再生可能エネルギーとともに原子力が果たす重要な役割を強調していた。CEZ社は既存のテメリン発電所(108万kWのPWR×2基)で2009年から2基分の増設計画の入札準備を進めていたが、政府が発電電力の買い取り保証を与えないと表明したため、2014年に入札を中止した。一方のドコバニ発電所(51万kWのPWR×4基)では、既存炉が技術的に良好な状態にあるため、CEZ社は2035年まではこれらで安全な運転継続が可能と予測。この年に最初の1基が完成するよう同社が進めているリプレース用建設計画については、一部の国際メディアが2016年11月、ロシアのロスアトム社、フランス電力(EDF)とアレバ社の連合、米国のウェスチングハウス(WH)社、日仏合弁のアトメア社、韓国水力・原子力会社(KHNP)、中国広核集団有限公司(CGN)の6社が関心表明を行ったと報じている。