仏アレバ社、2016年決算で損失額が大幅に縮減

2017年3月2日

 2014年に48億ユーロ(約5,798億円)という過去最悪規模の損失を計上した仏アレバ社は、3月1日に2016年の決算を公表し、再建計画の進展により損失額が2015年の20億3,800万ユーロ(約2,449億円)から6億6,500万ユーロ(約799億円)に縮減されたことを明らかにした。同社の年間収益は1,000万ユーロ(約12億円)で前年実績の半分以下に低下し、ネット・キャッシュフローも前年実績のマイナス5億9,000万ユーロ(約708億円)がマイナス6億2,100万ユーロ(約746億円)に悪化したものの、2018年に10億ユーロ(約1,200億円)という貯蓄目標額は、すでに70%以上を達成した。フランス電力(EDF)に対する原子炉・機器部門(アレバNP社)の売却交渉については、2017年後半に売買手続を完了すると明言。残った燃料サイクル関係部門を統合して創設した子会社(仮称「NewCo」)およびアレバ社の資本増強も、欧州委員会(EC)が1月に提示した前提条件を満たした上で6月に詳細事項を設定するとしている。

 発表によると、同社を取り巻く事業環境は2016年も依然として厳しく、特にウランや濃縮サービスの価格が急落したことを例として挙げた。一方、経営再建計画を継続的に実施し、2017年はその最終段階に入ると説明。2016年中に具体的に、次のような項目が進展したと述べた。すなわち、11月にNewCoを設立するとともに、アレバNP社の売買取引条件を定めたEDFとの契約書に調印。12月には、研究炉や原子力潜水艦等の事業を担当していたアレバTA社の株式売却契約も、国家出資庁や仏原子力・代替エネルギー庁(CEA)などの購入者連合と調印した。また、同社の再建計画に対してECから前提条件付きで同意が得られたほか、2017年2月3日にはアレバ社とNewCoの資本増強条件について株主から承認を得るとともに、NewCoに対する5%ずつ、合計5億ユーロ(約600億円)の出資で三菱重工業および日本原燃と大筋合意。このほか、風力発電部門であるADWEN社の売却交渉も今年1月決着しており、中国核工業集団公司(CNNC)とは、NewCoとの産業・商業協力で枠組合意に達したとしている。

 また、同社が手がけている欧州加圧水型炉(EPR)建設プロジェクトでは、2016年に以下の作業が進捗したと説明。(1)フィンランドのオルキルオト3号機計画で、1次系への注水やフル・スケールのシミュレーター試験が完了、(2)中国の台山1号機計画で、温態機能試験の準備として計測制御(I&C)系のキャビネットを再配置、(3)仏国内のフラマンビル3号機計画で、原子炉容器の上蓋と下鏡で実施した機械的強度に関する最終試験プログラムの報告書を12月に安全規制当局に提出--である。