GEH社とARCニュークリア社、先進的SMRの商業化で協力合意

2017年3月14日

 米国のGE日立ニュークリア・エナジー(GEH)社は3月13日、第4世代のナトリウム冷却炉技術に基づく先進的小型モジュール炉(SMR)の開発と許認可に関する協力で、メリーランド州の株式非公開企業、アドバンスド・リアクター・コンセプツLLC(ARCニュークリア)社と合意に達したと発表した。将来的に世界市場へ売り込むことを念頭に競争促進的な共同設計を行うという内容で、初号機はカナダで建設することを計画している。このため、カナダ原子力安全委員会が提供している許認可手続前の予備的設計評価サービス(「ベンダー設計審査」)を受け、さらに米国で認可を取得する足がかりとする考えだ。また、この商業化共同プログラムの短期目標として、先進的SMRの建設・運転コストの確認や、商業化に向けたリードプラントの所有者/運転者の特定を行うとしている。

 米国ではかつて、金属燃料高速炉と乾式再処理および燃料製造を組み合わせた一体型燃料サイクル計画を政府が推進。米エネルギー省(DOE)のアルゴンヌ国立研究所は、この目的のために製造した電気出力2万kWの液体金属冷却炉、「実験増殖炉II(EBR-II)」を1960年代から約30年運転した経験があり、高速炉の基盤技術に関する実験データ量や設計の成熟度、運転経験等において、同炉を上回る原子炉は米国内に存在しない。

 GEH社とARCニュークリア社はともに、このEBR-IIの技術に基づいてそれぞれの先進的原子炉設計を開発しており、GEH社の「PRISMナトリウム冷却高速炉」では超ウラン元素の燃焼など、核廃棄物をリサイクルできるよう設計されている。一方、EBR-IIプログラムの主要技術者が数多く所属するARCニュークリア社は、小型の高速炉技術では第一人者との評価があり、同社が開発した電気出力10万kWのSMR「ARC-100」は、20年間燃料の取替なしで柔軟かつ効率的な運転が可能だという。GEH社によると、どちらの設計も高エネルギー中性子炉で、液体ナトリウムの冷却材と金属燃料を使用。固有の安全性能と従来型軽水炉に対する経済的競争力を備えているほか、負荷追従運転が可能という柔軟性により、再生可能エネルギー源の間欠的な発電を補うことができる。両社はこのような技術を活かした先進的SMRを共同設計・商業化することにより、無炭素で適正価格な原子力発電を一層迅速にエネルギー市場にもたらしたいとしている。