イランのブシェール原子力発電所でⅡ期工事の建設工事開始

2017年3月16日

©ロスアトム社

 イランの原子力発電開発利用計画を支援しているロシアの国営原子力総合企業ロスアトム社によると、イラン南西部のブシェール原子力発電所でⅡ期工事(2、3号機)の建設・設置作業が3月14日に始まった(=写真)。両炉の起工式はすでに昨年9月に開催済みで、これまでにサイトの3区画で地盤の掘削作業などを開始。今回の記念式には顧客であるイランの原子力発電開発会社(NPPD)のほかに地元ブシェール州の代表者、ロスアトム社傘下で同プロジェクトを請け負ったアトムストロイエクスポルト(ASE)社幹部などが出席した。2、3号機は1号機と同じく、100万kW級のロシア型PWR(VVER)を採用しており、合計出力は210万kW。ただし、動的と静的両方の安全システムや二重格納容器を装備するなど、第3世代プラスの設計になるという。それぞれ2024年と2026年の営業運転開始を目指すとしている。

 2013年に商業規模の発電炉としては中東唯一となる1号機が同発電所で営業運転を開始した後、ロスアトム社とイラン原子力庁(AEOI)は2014年11月、両国政府間の既存の協力協定を補完する議定書を締結した。この中で、ブシェール発電所2、3号機に加えてさらに追加で2基、他のサイトでも4基をターンキー契約で建設協力する可能性が明記されたほか、これら8基で使用する核燃料はロシア側が供給するとともに、使用済燃料は再処理・貯蔵のため引き取るとした。同時に、ロスアトム社の子会社であるNIAEP―ASE社とNPPDは、ブシェールⅡ期工事についてターンキー・ベースのエンジニアリング・資材調達・建設(EPC)契約および関連のエンジニアリング調査と初期データ収集に関する契約を締結していた。

 ASE社のイラン事務所代表者によると、1号機の建設プロジェクトに際して、イランとロシアは双方の専門家で構成される有能な技術者チームを形成。技術的に複雑な課題を迅速に解決してきたとしており、Ⅱ期工事においてもイラン側専門家の高い能力が大いに活かされ、厳しい基準に適合した原子炉が日程通りに完成することを確信すると述べた。