ケニアの原子力導入計画で中国が人材育成協力

2017年3月27日

 ケニアの原子力導入計画に協力している中国広核集団有限公司(CGN)は3月22日、関連の人材育成協力を含む複数の協力協定をケニア原子力発電委員会(KNEB)と締結したと発表した。2015年9月に両者が調印した原子力平和利用分野における協力覚書に基づくもの。ケニアが2030年までに100万kW級原子炉4基の建設を計画していることから、CGNとしては中国が輸出用の第3世代設計と位置付ける「華龍一号」のケニアでの建設を目指して、同設計技術に沿った訓練と能力開発サービスを同国に提供する。また、原子力発電の技術と事業関連で協力していく際、前提条件となる情報共有関係の権利事項や義務事項を機密保持協定の中で明記。「華龍一号」とその改良型炉の開発を念頭に置いた研究開発や建設・運転、燃料供給、原子力安全、放射性廃棄物管理、廃止措置など、包括的な協力を行っていくことになる。

©CGN

 これらの協定は、14日から16日にかけてケニアの首都ナイロビで国際フォーラム「ケニア原子力エネルギー・ウィーク」が開催されたのを機に結ばれた(=写真)。同フォーラムは東アフリカ地域における原子力関係者会合・展示会であり、ケニアの国会議員や関係閣僚・機関がKNEBの代表者とともに出席したほか、ケニアと同じく原子力発電の導入を検討しているナイジェリアとガーナの政府当局、国際原子力機関(IAEA)、世界原子力協会(WNA)の関係者などが参加。ロシアや韓国をはじめとする世界中の原子力企業が、中国チームとともにそれぞれの原子力技術、開発能力と経験、サプライ・チェーンなどを紹介した。現地の報道によると、ロシアの原子力総合企業ロスアトム社はケニアに対し、120万kW級のロシア型PWR(VVER)を政府間融資協定に基づく25年ローンで建設する案を提示した模様。また、KNEB側では原子力発電所開発の法的インフラとなる原子力規制法を2018年初頭に制定するため、年末までに案文を作成すると述べたことが伝えられている。

 ケニアは人口4,700万人ほどで、現在の総発電設備容量は200万kW足らず。その約半分が水力によるもので、電化率は全人口の約30%に過ぎない。このため、政府は2030年までにケニアを中所得レベルの新興国とする開発戦略「ケニア・ビジョン2030」に従って、持続可能な経済成長のカギと位置付けたエネルギー源の開発計画を進めている。原子力導入計画では様々な国と協力関係を結んでいるところで、2016年5月にロスアトム社と、同年9月には韓国電力公社(KEPCO)と原子力平和利用分野全般の協力で了解覚書を締結した。政府が2011年11月に開始したプレ・フィージビリティ・スタディもすでに完了。IAEAの専門家チームは2015年8月に「総合原子力インフラ審査(INIR)」を同国で実施し、原子力発電インフラの開発準備が大幅に進展していると結論付けていた。