米ボーグル、サマー両増設計画の事業者、WH社との中間評価協定を延長

2017年5月2日

 米ジョージア州とサウスカロライナ州でそれぞれ、ウェスチングハウス(WH)社製AP1000であるA.W.ボーグル3、4号機とV.C.サマー2、3号機の増設プロジェクトを進めている事業者らは4月28日、これらの建設工事を請け負ったWH社との「中間評価協定」を延長すると発表した。東芝傘下のWH社が3月29日に再建型の倒産法適用を申請したのにともない、米国で約30年ぶりの原子力発電所新設計画である両プロジェクトの事業者らは30日間の中間評価協定をWH社と締結。これに基づき、建設工事の継続を可能にしつつ原子炉の完成までに要するコストやすべての完成オプションについて分析レビューを行っていた。WH社はボーグル3、4号機の完成までに約25億ドル、サマー計画の2基では約15億ドルの追加経費が必要だと見積もったが、事業者側から見れば、これらはあくまでもWH社による試算。同協定の期間内に、こうした額の確認作業を完了できなかったと見られている。

 スキャナ社はサマー計画に対し、子会社のサウスカロライナ・エレクトリック&ガス(SCE&G)社を通じて60%出資しているが、残り40%を出資する州営電力のサンティー・クーパー社と連名で公表した声明によると、同計画の中間評価協定は4月28日に満了した後、6月26日まで延長する内容で修正された。これにより、期間中はWH社の主要受託業者であるフルアー社が建設サイトで担っている現在の役割が維持されることとなり、スキャナ社らはフルアー社への毎週の作業継続経費約3,000ドルを支払いながら、サマー2、3号機のどちらか1基のみ完成させるか、片方の作業を一時的に中断して残り1基に集中する、あるいは2基とも断念して資金回収方策を模索するかなどの全オプションを継続的に検討する。関連情報のすべてを徹底的かつ正確に評価して、顧客やステークホルダーの必要性とバランスを取りながら最も保守的な方向性を探るとしている。

 一方、サザン社最大の子会社としてボーグル計画に45.7%出資するジョージア・パワー社によると、サイトでの作業継続が認められるWH社との中間評価協定は5月12日まで延長されることとなり、この期間内に継続的にWH社との新たなサービス協定案を固める方針。必要となれば、サザン社の子会社として発電所の運転を担当するサザン・ニュークリア・オペレーティング社に対し、WH社が設計・エンジニアリング・資材調達サービスを提供し続けることが保証されるとした。原子炉完成までの全体スケジュールとコストの分析作業を今後も続け、ジョージア公益事業委員会や共同出資者であるオーグルソープ電力、ジョージア州営電力(MEAG)、ダルトン市営電力とは、顧客にとって最良の道が決定できるよう積極的に働きたいと明言。また、WH社に契約上の財政責任を取らせるとともに、東芝には親会社としての保証を請求するため、今後もあらゆる手段を講じていくと強調している。