リトアニアで建設中の固体廃棄物管理貯蔵施設でホット試験開始

2017年6月12日

 リトアニアでイグナリナ原子力発電所の廃止措置を進めている「国家企業イグナリナ原子力発電所(SE-INPP)」は6月9日、短・長寿命の固体放射性廃棄物について回収・輸送・分類・包装・特性評価・貯蔵を行う専門施設(SWMSF)のホット試験を開始したと発表した。同施設は、2009年に閉鎖されたイグナリナ発電所が運転期間中に排出した放射性廃棄物、および廃止措置作業で生じる廃棄物を貯蔵するため、2005年にドイツのNUKEMテクノロジーズ社と設計・建設契約を結んだ後、2009年12月に着工していた。2015年8月以降は、非放射性の模擬廃棄物を使った機器・システムの実証試験を行って設計要件を満たした安全運転が可能か検証していたが、今回、原子力発電安全規制局(VATESI)が発給した許可により、廃止措置計画は新たな重要段階に移行。SWMSFが技術仕様どおりに機能するか、実廃棄物を使って確認することになった。営業運転の開始は、最初の試験期間満了後の2018年6月を予定している。

 イグナリナ発電所はリトアニア唯一の原子力発電所で、稼働時には大容量の1、2号機(各150万kW)だけで国内総発電量の8割を賄っていた。しかし、チェルノブイリ原子力発電所と同型の軽水冷却黒鉛減速炉(RBMK)設計だったことから、欧州連合(EU)への加盟と引き替えに2基とも永久閉鎖。代替電源となるビサギナス原子力発電所の建設計画について、リトアニア国会は2012年6月、日立製作所を戦略的投資家に選定したことなどを盛り込んだ建設法案を承認したものの、同年10月に実施された国民投票の結果を受け、現在は凍結中となっている。

 貯蔵容量12万立方メートルのSWMSFは、イグナリナ発電所の敷地内と隣接区域に分散して立地。既存の中間貯蔵施設から固体廃棄物を回収する設備(B2プロジェクト)と、処理・貯蔵する設備(B3/4プロジェクト)で構成されており、最終的な処分施設が建設されるまでの50年間、廃棄物を安全に貯蔵することになる。並行して建設中の使用済燃料中間貯蔵施設(ISFSF)(B1プロジェクト)などとともに、廃止措置計画における主要プロジェクトの1つと位置付けられており、欧州復興開発銀行(EBRD)が管理する「イグナリナ国際廃止措置支援基金(IIDSF)」から財政支援を受けている。これまでに主要なプロジェクト用の基金8億3,000万ユーロ(約1,025億円)のうち、約2億ユーロ(約247億円)がSWMSFに投じられた。

 なお、ISFSFでは新しい設計の貯蔵キャスク「CONSTOR RBMK1500/M2」10台によるホット試験が一足先に完了し、結果報告書の審査を終えたVATESIは5月4日に営業運転の開始許可を発給した。使用済燃料を封入したキャスク1台の重量は118トンに及ぶが、SE-INPPでは同キャスクを190台、ISFSFに貯蔵する予定。2022年末までに、すべての使用済燃料をプールでの湿式貯蔵から乾式貯蔵に移すことを目指すとしている。