仏規制当局、フラマンビル3号機の原子炉容器問題で「7年後の上蓋取替」を勧告

2017年6月30日

 建設中の2015年に原子炉容器(RV)上蓋と下鏡の鋼材組成に異常が認められたフランスのフラマンビル原子力発電所3号機(FL3)(160万kW級PWR)について、仏原子力安全規制当局(ASN)は6月28日、あらゆる運転状況下においてこれらのパーツの機械的特性は適切であると結論付けた。その一方で、下鏡は定期検査の回数を追加して使用することを事業者のフランス電力(EDF)に義務付けたほか、上蓋については7年後の2024年に新しく製造したものと取り替えることを要請する見解を発表した。これに対して、EDFは翌29日、上蓋に関するASNの要請を受け止めるとしたものの、モニタリングにより上蓋の品質を実証し、現行のものを継続使用する可能性に言及。最終的な判断としては、ASNの要請に従いたいとの考えを明らかにしている。

 FL3の建設では、アレバ社製の第3世代設計「欧州加圧水型炉(EPR)」をフランス国内で初めて採用。2007年12月に本格着工したが、アレバ社傘下のクルーゾー・フォルジュ社が製造した同炉の鍛造品に、鋼材の機械的強度を弱める炭素偏析が2015年4月に発見され、この問題はその後、クルーゾー社が既存炉用に製造した蒸気発生器の鋼材についても、追加調査を行う事態に発展した。ASNは、FL3の機器の安全性と健全性を確認するため、非破壊検査など詳細試験の実施をEDFとアレバ社に指示しており、提出された試験結果は、ASN局内の耐圧機器担当部と技術支援組織である仏放射線防護原子力安全研究所(IRSN)が技術的に分析。原子力耐圧機器諮問委員会の意見も聴取したうえで、今回の結論を導き出したと説明した。

 ASNによると、鋼材組成の異常は機器が早期に破損するリスクを増大させるため、EDFは下鏡について追加の定期点検を実施し、新たにヒビなどが発生しないことを保証しなければならない。ASNとしても、このような点検を監視する方針だが、上蓋に関しては「同様の点検による技術的フィージビリティが確立されていない」ため、使用期間を制限しなければならないと明言。新しい上蓋の製造に約7年かかると計算した上で、2024年末までに現在の上蓋と交換すべきだとEDFに要請した。

 EDFはASNの発表について、FL3のRVが使用に適しているとの見解が示されたとして歓迎。同炉の建設は2015年9月に公表したスケジュールに沿って進展中で、2018年末の燃料装荷と起動を目指してシステムの性能試験が始まったことを明らかにした。RVの下鏡に関しては、長期の運転期間を通じて安全性を保証するため、供用期間中のモニタリング・システムを開発済みだと述べた。上蓋についても、取替に要する直接経費が約1億ユーロ(約128億円)にのぼるため、供用モニタリングの手法開発を目的とした社内チームを動員すると表明。これにより、長期にわたって上蓋の品質維持が可能であることを実証する考えを示した。また、この作業に関する進捗報告書を2年以内にASNに提出すると約束しており、決定的な結果が出た場合は2024年以降も現行の上蓋を継続的に使用できるよう、ASNに新たな申請書を提出するとしている。