米ホルテック社:SMR開発の加速でカナダのSNCラバリン社と協力

SMR-160のレイアウト図©ホルテック・インターナショナル社
ホルテック社のSMR-160は、燃料に低濃縮ウランを使用する電気出力16万kWのPWR。長い高圧送電線を必要としないので、水の供給や敷地が限られた遠隔地域でも柔軟性のある利用が可能という。また、最も過酷な事故に耐え得るよう実用的な革新的技術と実証済みの技術をバランス良く組み合わせており、ポンプやモーターなどの動的機器の代わりに重力を利用した受動的安全系を装備。人的介入や追加電源がなくても原子炉を停止させ、無期限に冷却することができるとしている。米国は、SMRのように巨額の初期投資を必要としない次世代エネルギー技術の開発と製造でリーダーシップを握り、国内原子力産業を復活させることをオバマ前政権が誓約しており、エネルギー省(DOE)は2012年から産業界とのコスト折半で、出力30万kW以下のSMR設計2件に対して商業化を支援するプログラムを6年計画で実施中。しかし、同社のSMR-160やウェスチングハウス社のSMR設計は支援対象として選定されていなかった。
一方、オレゴン州を本拠地とするニュースケール・パワー社は、開発中のSMR設計がDOEの商業化支援プログラムの適用を受けており、今年1月にSMR設計としては初めて、米原子力規制委員会(NRC)に設計認証(DC)審査を申請した。7月17日には同審査において、ロック・クリーク・イノベーションズ社と6年がかりで共同開発した「高度統合型防護システム(HIPS)」のプラットフォームがSMRの安全関係I&C系に利用可能であるとの評価を受けたと発表。サイバー攻撃に対しても有効な技術を駆使したHIPSが認められたことから、DC審査は完了に向けて大きく前進したと同社は強調している。このSMR設計についてDOEは2016年2月、初号機の運転事業者となるユタ州市町村公社(UAMPS)に対してアイダホ国立研究所の敷地を建設用地として使用することを許可。早ければ2026年にも営業運転が開始される見通しである。