ウクライナ原子力発電公社、ホルテック社製SMRの導入可能性を協議

2017年7月24日

©エネルゴアトム社

 ウクライナの原子力発電公社であるエネルゴアトム社は7月20日、米ホルテック・インターナショナル社との技術会合(=写真)で、ホルテック社製小型モジュール炉(SMR)「SMR-160」を将来的にウクライナで建設する可能性について協議したことを明らかにした。ホルテック社はウクライナで使用済燃料の集中中間貯蔵施設の建設計画を請け負うなど、長年にわたってエネルゴアトム社と戦略的連携関係にあり、最終的にウクライナでSMR-160の設備を製造したり、燃料生産する可能性もあるとした。同社はまた、7月17日にSMRの開発促進でカナダのSNCラバリン社と協力していく計画を発表しており、同社から許認可支援を含めた幅広いエンジニアリング・サービスを受けて、SMR-160のシステム開発と国際的な認可取得に向けた作業を大幅に加速。SMR-160を世界中で建設していく手始めとして、2018年末までに米国で原子力規制委員会(NRC)の設計認証(DC)審査を申請したいとしている。

 エネルゴアトム社とホルテック社の技術会合は18日と19日の両日、両者の連携強化と原子力発電所における建設・運転の安全性と効率性向上方策を協議するため、ウクライナの首都キエフで開催された。この中で両社は、NRCからSMR-160のDCを取得する見通しや、米国その他の国で建設・運転する可能性について議論。ホルテック社幹部が同設計の認可をウクライナで受けて国産化していくこともできるとしたのに対し、エネルゴアトム社総裁は、SMR導入に向けた活動を通じて、ウクライナが近代的なエネルギー技術の開発国として仲間入りし、将来的な機器製造で主要国の1つになる道が拓けるとの抱負を述べた。また、SMRのような設計であれば、原子力発電が直面する数多くの課題を解決し、安全性や効率性を向上することができるとの認識を表明。エネルゴアトム社はすでに2016年末、ホルテック社のSMR諮問委員会メンバーの一員となっており、ウクライナ国内でSMRを建設する見込みについて積極的に模索する活動を展開中である。

 エネルゴアトム社はこのほか、ホルテック社がウクライナ国内で進めている使用済燃料の集中中間貯蔵施設建設(CSFSF)計画に言及。7月6日にウクライナ国家原子力規制検査庁(SNRI)が同施設の建設・運転許可を発給した事実を明らかにした。同国では4つの原子力発電所のうち、ザポロジェ発電所では敷地内で使用済燃料の乾式貯蔵が行われているものの、残りのロブノ、南ウクライナおよびフメルニツキの3発電所(ロシア型PWRが合計9基)では使用済燃料をロシアで安全に再処理・貯蔵するため、毎年2億ドルを同国に支払っている。これをホルテック社の技術を使って集中的に乾式貯蔵するため、両者は2005年にCSFSFの建設契約を交わしている。しかし、政治状況の変化等により計画は事実上凍結され、チェルノブイリ発電所の南東にある立入禁止区域の再定住化された敷地内で起工式が行われたのは2014年8月のこと。現在の日程では、今年末までにキャスクやキャニスターなど最初の機器システムの搬入を行えるよう、ホルテック社が米国内で保有する3つの工場で製造作業を加速し、2019年から使用済燃料の受け入れを開始することになっている。