英政府のエネルギー世論調査、「原子力支持派は安定的」

2017年8月4日

 英国のビジネス・エネルギー・産業戦略省(BEIS)は8月3日、四半期毎に実施している「エネルギーと気候変動に関する追跡世論調査(PAT)」で、原子力発電が英国内で幅広く支持されており、原子力の利用に賛成する人の割合も安定的に推移しているとの分析結果を明らかにした。支持者は全体の35%で、このうち7%が「強く支持する」としたほか、28%が「支持する」と回答した。一方、原子力の利用に「強く反対する」人の割合は全体のわずか5%で、「反対する」とした16%と合わせても21%足らず。大多数(41%)は「支持も反対もしない」という中立的意見の持ち主で、残り2%は「分からない」と答えていた。原子力支持派の割合は2014年の調査で何回か40%を超えたのを除き、ほぼ一貫して30%台後半という結果。反対派の割合は、概ね20%台前半に留まっている。

 PATは、BEISの前身であるエネルギー気候変動省(DECC)が2012年3月から始めた調査で、今季で22回目。6月末から7月4日までの間、英国内でランダムに抽出した2,097世帯を訪問し、対面インタビュー形式で意見を聴取した。原子力やシェールガス、再生可能エネルギーといった個別のエネルギー源のほかに、エネルギーの供給保証やコストなどについても、世論の動きをモニターする上で必要となるデータを収集。季節によって変動するファクターもあるため、ちょうど1年前に実施した第18回目調査との結果比較も行っている。

 原子力関係の調査結果として、BEISは今回、原子力支持派世帯のうち46%が年収5万ポンド(約720万円)以上であったとしたほか、性別では男性、年齢では65才以上の人が数多く原子力の利用を支持したと分析。職業等級別では、「最高位の幹部・管理職」(A)と「中程度の幹部・管理職」(B)に就いている人達が42%を占めたとしている。また、放射性廃棄物関係では、英国における管理方法を「非常に良く知っている」、あるいは「ある程度知っている」と答えた人が15%だったのに対し、85%は「あまり多くを知らない」、もしくは「全く知らない」と回答。このような結果は、過去の調査からあまり変っていないとした。内訳としては、10人中4人以上(41%)が深地層処分場(GDF)に関して、ある程度の知識を持っていると答えたものの、大多数はたくさん持っているわけではなかった。また、19%は「聞いたことはあるが、良く知らない」と回答。同じく19%が「少しだけ知っている」と述べており、「良く知っている」と答えたのは全体の3%に過ぎなかった。性別では、男性の方が女性よりもGDFに関する知識を保有。職業等級別では、知識を持っているとした人の54%が(A)、(B)両ランクの人々で占められており、「現場の初心者作業員」(D)と「年金や失業手当の受給者および臨時雇い」(E)の両ランクを合わせた割合は33%に留まった。さらに年収別では、GDFについて知っていると述べた世帯の54%が、年収5万ポンド以上だったと指摘している。