エジプト、ロシア製原子力発電所の建設契約に向けた手続が完了

2017年9月6日

        ©ロシア大統領府

 新興5か国(BRICS)首脳会議(*)に合わせて中国福建省のアモイを訪れていたエジプトのA.F.シシ大統領(=写真左)は9月4日、ロシアの協力によるエジプト北部エル・ダバで同国初の原子力発電所を建設する計画の契約承認手続がすべて完了したことを明らかにした。あらゆる分野における両国間の連携についてロシアのV.プーチン大統領と個別協議した際に述べたもので、エジプトで開催する契約書の正式調印式にはプーチン大統領を是非招待したいと発言。具体的な時期には言及しなかったが、同大統領を再びエジプトに迎える良い機会になるとの考えを示した。

 エル・ダバで第3世代の120万kW級ロシア型PWR(VVER)を4基建設・運転する計画の政府間協力協定は2015年11月、ロシア国営の原子力総合企業ロスアトム社とエジプトの電力・再生可能エネルギー省がカイロで調印した。この協定には、総工費の一部をロシア政府が年利3%で融資する条項が盛り込まれており、エジプトの国家情報サービス本部は2016年5月、ロシアから最大250億ドルの融資を受ける大統領令が公布されたことを明らかにした。これにより、建設工事と関連サービスおよび機器の輸送など、各契約の85%をカバー。残りの15%をエジプト側が調達する。初号機は2022年に完成させる予定で、エジプト政府は完成した原子炉からの売電収入などにより、35年間で融資を完済する計画だとしている。

 エジプトでは近年、石油の生産量が減少する一方で大規模な天然ガス田が発見されたが、これらは主に発電用として消費されている。原子力発電所の導入については、人口増加にともなう電力需要拡大への対処や生活水準向上のため、1980年代に100万kW級原子炉2基の建設計画が打ち出されたものの、チェルノブイリ事故を契機に同計画は中断。2000年代に入り、政府は国際入札の手配や採用設計の選択調査などの準備作業を進めたが、2011年のエジプト革命により導入計画は再び棚上げ状態になった。2014年頃から改めて国際入札を行う話が持ち上がり、エジプト政府は中国およびロシアなどと関連の協力覚書を締結していた。

 【注*】ブラジル、ロシア、インド、中国、南アの5か国による首脳会議。併せて関係する市場国等との対話会も開催されている。