UAE、「今後30年間のエネ政策で原子力優先」を再確認

2017年9月27日

      ©UAEエネルギー省

 アラブ首長国連邦(UAE)のS.アル・マズルーイ・エネルギー大臣(=写真左)は9月25日、2050年までの国家エネルギー戦略の中で原子力推進を優先項目とするほか、再生可能エネルギーなど環境に優しいエネルギー源の利用を推進し、今後30年間でそれ以外のエネルギー源への依存度を低減していくと改めて表明した。UAE初の原子力発電設備となるバラカ1号機の運転開始を2018年に控え、首都アブダビでは10月30日から11月1日まで、国際原子力機関(IAEA)が経済協力開発機構・原子力機関(OECD/NEA)との協力で「21世紀の原子力発電に関する国際閣僚会議」を開催する。ホスト国としての記者会見で同大臣は、今年1月にM.ラーシド首相が公表していた長期エネルギー戦略の概要を再確認したもので、「エネルギー需要の増加に対処する上で原子力は最良の選択だとUAEは確信している」と明言。原子力発電所によって連邦内の電力需要を満たすとともに、持続可能な発展という同連邦の目標を支えていく方針を強調した。バラカ原子力発電所では現在、140万kW級の韓国製PWR「APR1400」設計を採用した1~4号機の建設工事が同時並行で進められており、7月末時点の進捗率はそれぞれ96%、86%、76%、および54%。発電所全体としての進捗率は82%に到達している。

 エネ相によると、UAEが国際閣僚会議のホスト国に選ばれたのは、原子力平和利用プログラムの進展におけるUAEの努力と国際的に重要な立場が認められたため。同会議で、原子力部門が直面する課題や喫緊の課題である地球温暖化について様々な国々と議論し、原子力技術の平和利用と各国のコミュニティにおける活用を促せるような勧告を策定したいと述べた。同相はまた、2010年に閣議決定した「UAEの2021年ビジョン」において、UAEを世界でも最良の国の1つとするために燃料や天然ガスの消費量を削減し、エネルギー源を多様化する政策を打ち出していたことに言及。同会議ではUAEのそうした政策に沿って、国家的長期目標の達成を目指すとした。同相としては、エネルギー関係の専門家や業界関係者が世界中から一堂に会するこの会議を、最近のエネルギー市場動向やその影響、天然資源の温存、持続可能な開発に向けた官民協力の方法等を議論する理想的な機会であると認識。将来的なエネルギー需要を満たし、地球温暖化を抑制する上で原子力が果たす役割、持続可能な開発への貢献、原子力開発における重要課題等について、閣僚級の政府高官も交えた意見交換を促進するとしている。

 UAEのH.アル・カービIAEA常駐大使も、「世界の原子力政策で建設的かつ能動的な役割を担うUAEにとって、今回の会議を開催することは重要だ」と強調した。UAEがこの分野で世界的に認められている理由は、原子力プログラムの実施で責任あるアプローチを取り、成功につなげることができたからであり、原子力平和利用に関心を抱く多くの国にとって手本になるからだと説明。UAEが2009年に米国と原子力協力協定を締結した際、領土内でウラン濃縮と再処理を行わないと確約したことにより、見習うべきモデルだと称賛された事実を示唆した。UAEは飛躍的な経済成長にともなう電力需要の急増に対処するために原子力平和利用プログラムを開始したが、国際社会ではまだ、安全・セキュリティ関係の基準遵守や核不拡散の枠組など、利用に付随する条件整備が進展途上にあると同大使は指摘。それでも、地球温暖化への取り組みや持続可能な開発への貢献という点で、原子力が重要な役割を果たすと考える国は増加しており、導入に関心を表明した国の数は、すでに開発利用中の国を除き30か国以上にのぼると強調している。