中国で建設中の田湾3号機、臨界条件を初めて達成

2017年10月4日

 中国・江蘇省で田湾原子力発電所の開発に協力しているロシア国営の原子力総合企業ロスアトム社は9月29日、建設中の3号機(106万kWのロシア型PWR)で前日深夜に出力が最小制御レベル(MCL)に到達したと発表した。これにより核分裂連鎖反応が始まり、起動プロセスの最終段階に入ったと説明していることから、実質的に臨界条件を達成したものと見られている。2012年12月に本格着工した同炉は、今年8月に国家核安全局(NNSA)から燃料の装荷許可を取得。燃料集合体163体の装荷を行うとともに、その他の準備作業も完了するなど、起動に向けたプロセスを開始していた。今後は国内送電網への初併入を経て、2018年に営業運転を開始する予定。中国の商業炉としては、38基目になる計算だ。

 田湾原子力発電所は、中国核工業集団公司(CNNC)傘下の江蘇核電有限公司(JNPC)がロスアトム社傘下のアトムストロイエクスポルト(ASE)グループとの協力で建設を進めており、100万kW級のロシア型PWR(VVER)を採用したⅠ期工事の1、2号機はすでに、2007年から営業運転中。同型設計を採用したⅡ期工事の3、4号機が現在建設中だが、Ⅲ期工事の5、6号機については、CNNCがフランスの技術をベースに開発した第3世代のPWR設計「ACP1000」を採用。これら2基も、2015年12月と2016年9月にそれぞれ、建設工事が始まっている。