トルコ原子力庁、アックユ建設計画に部分的建設許可発給

2017年10月24日

 トルコ原子力庁(TAEK)はこのほど、同国初の原子力発電設備となるアックユ発電所(120万kW級ロシア型PWR×4基)の建設計画に対し、部分的建設許可(LCP)を発給した。
 同計画を受注したロシア国営の原子力総合企業ロスアトム社が10月20日付けで公表したもので、全面的な建設許可取得に向けた第一段階に相当。これにより、同社がトルコで設立したプロジェクト企業のアックユ原子力発電会社(ANPP)は、安全系統関係の建屋や構造物を除いて、タービン系統や補助建屋などすべての非原子力設備で建設・据付作業の開始を許されたことになる。ANPPは2018年前半に全面的な建設許可を取得できると見込んでおり、初号機の運転開始は2023年を目指す考え。同計画に対するロシア側からの総投資額は200億ドルを超える見通しで、資金調達からエンジニアリング、建設、燃料供給、発電所の運転、運転員の訓練、放射性廃棄物管理および廃止措置サービスまで提供する。一方、トルコ側は建設サイトと必要文書を手配するほか、国内送電網への接続、発電電力の購入保証などを約束している。

 トルコとロシアは2010年にアックユ発電所の建設と運転に関する政府間協力協定(IGA)を締結しており、これに基づきTAEKは、翌2011年10月にサイト許可をANPP社に発給した。同建設計画の環境影響声明書は、書式の変更等により複数回の提出を余儀なくされたものの、2014年にトルコ環境都市計画省が最終的に承認。翌2015年4月に起工式が執り行われたのに続き、6月にエネルギー市場規制庁(EPDK)が発電予備認可をANPP社に発給した。しかし、シリア内戦を巡る両国関係の悪化や天然ガスパイプラインの建設交渉などにより、同建設計画は一時停滞。2016年8月にトルコのエルドアン大統領がロシアに謝罪したことで関係修復に至っており、TAEKは今年2月、地中海沿岸メルシン地区のアックユ発電所建設予定地について設計パラメーターを承認。6月には、EPDKが2066年まで49年間有効な発電許可をANPP社に発給していた。

 ANPP社のY.ガランチュクCEOによると、今回、LCPを取得出来たことは、アックユ建設計画を実行段階に進める重要な一歩であり、同計画は準備段階からサイトにおける実際の建設活動に移行。許可された作業の大半は、地元の下請企業が受け持つ予定だとした。同社としては今後、全面的な建設許可取得を目指した活動に集中していく方針で、同許可によって、可能な限り早期に原子力発電所全体の建屋や構造物の建設に取りかかりたいと述べた。
 LCPの取得に際しては、ANPP社は初号機の設計文書作成などで、その他のロスアトム社傘下企業と緊密に協力。今年3月3日に、建設許可申請(CLA)において不可欠な予備的安全解析報告書(PSAR)や確率論的安全評価(PSA)、その他の安全性保証文書を多数、TAEKに提出したとしている。
 
 TAEKはこれらの文書を徹底的に審査・評価した上でLCPを発給したが、今後は建設サイトで作業の進展状況について評価と点検を行った上で、CLAの評価報告書を作成する。肯定的な結果が出れば、全面的な建設許可をANPP社に発給して、発電所における全建屋の建設と全システムの据付を無制限に許可することになる。