米ジョージア州の公益事業委、ボーグル増設計画の継続を全会一致で承認

2017年12月22日

 米ジョージア州の公益事業委員会(PSC)は12月21日、国内で約30年ぶりの新設計画として州内で進められているA.W.ボーグル原子力発電所3、4号機(各PWR、110万kW)増設計画の継続を全会一致で承認した。
 サザン社傘下のジョージア・パワー社(GPC)を含む同計画のオーナー企業が今年8月、建設工事を続行して両炉とも完成させるべきだとの提案書を提出したのに対し、約3か月間の評価審査の結果、条件付きでこれを認める判断を下したもの。提案書の中でオーナー企業らは、想定される潜在的リスクの1つとして、東芝がウェスチングハウス(WH)社の親会社保証金を支払うことが可能かという点を挙げていたが、東芝は分割支払いを予定していた保証金の残額32億2,500万ドルを12月14日に一括で早期弁済。PSCの今回の裁定に、少なからず影響を及ぼしたと見られている。

 建設サイトでは、エンジニアリング・資材調達・建設(EPC)契約を請け負っていたWH社が倒産申請した後も、サザン社の子会社がプロジェクト管理を引き継ぎ、間断無く作業を続行。最近では、3、4号機両方で遮へい建屋にパネルを取り付けたほか、重さ52トンの大型モジュールや最初の蒸気発生器を4号機に据え付けた。現在の日程では、3号機が2021年11月、4号機は2022年11月に運転開始する見通しである。

 PSCがオーナー企業らに新たに課した主な条件は、完成の遅れにともなうコスト増のペナルティとして、3、4号機の建設期間中に顧客の電気料金から徴収する金額を17億ドル以上削減し、同企業らの利益率を下げるという内容。これにより、PSCとしては引き続き、顧客の利益を守ることができると述べた。一方、GPCは、東芝から数年間前倒しで親会社保証金がすべて支払われた点を強調しており、同社の総コストが約27億5,000万ドル削減されるとの見通しを示している。

 GPCはこのほか、同計画の成功に重要な役割を果たす発電税控除(PTC)の適用期限延長を求めて、今後も議会等への積極的な働きかけを続けていくとした。新規原子力発電所の支援策として2005年に政府が設定したこの控除は今のところ、2021年1月1日までに原子炉を送電可能な状態にすることが条件となっている。同社はまた、9月に米エネルギー省(DOE)のR.ペリー長官が同計画への追加の融資保証として、最大37億ドルを提案していた事実に言及。同計画に45.7%出資するGPC分として、16億7,000万ドルの追加保証が最終承認されるようDOEと交渉を続け、必要な規制上その他の承認もすべて得たいとしている。