米NJ州の議会委が原子力支援法案を承認、年明けに本会議採決へ

2017年12月26日

 米ニュージャージー(NJ)州議会の上下両院で12月20日、早期閉鎖のリスクにさらされている原子力発電所の支援法案を、それぞれの担当委員会が全会一致で承認した。
 電源の多様化とCO2の排出量削減に寄与すると認定された原子力発電所に対して、発電量に応じて追加料金が顧客の電気料金から支払われる「原子力多様性認証(NDC)」プログラムを創設するというもので、州議会上院の環境エネルギー委員会と下院の電気通信・公益事業委員会が同日、一部修正された上院法案(S3560号)と下院法案(A5330号)について合同ヒアリングを実施。超党派で承認されたのを受けて、年明け早々にもそれぞれの本会議で採決すると見られている。

 NDCプログラムは、イリノイ州とニューヨーク州で2016年に採決された原子力発電所支援プログラムと同様、クレジット取引を通じて追加料金を徴収するシステム。上院法案によると、州の公益事業委員会(BPU)がクレジットに相当するNDCの発行単価を計算式に従って年ごとに決定し、州内の公益電気事業者は、原子力発電所が受け取るNDCの総数に配電電力の割合を乗じて、前年分の支払を各原子力発電所に対して行う。
 このNDC購入関係で支払われたすべてのコストを全面的に回収するため、BPUは1kWhあたり0.004ドルという不可避の追加料金を公益電気事業者の顧客に対して課す計画。この金額は、法案に示された条件の達成状況次第で削減される可能性があるほか、徴収料金が超過した場合は顧客に返還するとしている。

 一方、同プログラムに参加する原子力発電所側にも条件が設定されている。すなわち、(1)2030年まで、あるいはそれ以降の運転認可を取得している、(2)支援がなければ発電所が早期閉鎖に追い込まれることを裏付ける財務情報を提示する、(3)州内の電源の多様化や大気質の改善で多大な貢献をしている、(4)その他の州法や連邦法等に基づく同様の支援金を受け取っていないことを毎年証明する、(5)NDCプログラムの運営経費として、BPUが定める25万ドル以下の参加費を支払う--など。
 また、プログラムへの参加資格があると認定された最初の1年間とプラス3年間、NDCを受け取った後は、追加の3年毎にBPUがその原子力発電所の適格性を審査する。適格と認定を受けた期間中に運転を終了せざるを得なくなった場合、その発電所は閉鎖理由の如何を問わず、NDCを購入した公益電気事業者に購入額と同等の補償金を支払わねばならないとしている。

 NJ州で稼働中の商業炉4基は同州における電力需要の約4割を賄っているが、単機のオイスタークリーク原子力発電所は2019年に早期閉鎖されることが2010年に決定済み。州政府が冷却水の取放水認可を更新する条件として冷却塔の設置を義務付けたためで、事業者であるエクセロン社は冷却塔の建設費など、7億~8億ドルという経済的影響を勘案して10年前倒しの閉鎖を決めた。
 残りの3基は、パブリック・サービス・エンタープライズ・グループ(PSEG)のセーレム発電所1、2号機とホープクリーク1号機で、これらの運転を継続するには財政的支援が必要だと同社は強調。法案が立法化されれば、同プログラムの適用を受ける資格があるとの期待を述べたと伝えられている。