カナダ規制当局、敷地内中間貯蔵施設の拡張と操業延長を許可

2018年2月9日

 カナダ原子力安全委員会(CNSC)は2月7日、ピッカリング原子力発電所の敷地内にある使用済燃料中間貯蔵施設の設備拡張と操業期間の約10年延長を許可した。

 同発電所と中間貯蔵施設を所有するオンタリオ・パワー・ジェネレーション(OPG)社が2016年10月に申請していたこれらの案件について、CNSCは昨年、複数回の公聴会を開催したほか、最新の環境リスク評価書(ERA)を含む追加情報を同社から入手。こうした提出文書に加え、申請書を審査したCNSCスタッフの勧告、公聴会参加者からのコメントなどを考慮して判断を下したもので、これによりOPG社は、今年3月末で認可が満了する「ピッカリング廃棄物管理施設(PWMF)」を2028年8月末まで操業することが可能になった。また、PWMFで新しい「乾式貯蔵コンテナ(DSC)処理棟」と、2つの「DSC貯蔵棟」(5号棟と6号棟)を建設する準備作業と建設工事、および現行の認可で持ち越されていた4号棟の建設工事を実行に移すことになる。

 カナダの原子力発電所から出る使用済燃料は、最終的に地下500mの深地層に処分することになっており、実施主体である核燃料廃棄物管理機関(NWMO)は現在、処分場の建設候補地を5地点まで絞り込んだところ。このうちの1地点で最初のボーリング孔掘削を1月に完了しており、2040年~2045年頃を目標に最終深地層処分場の操業を開始する計画である。それまでは、少なくとも50年の耐久性を持つ頑丈なDSCで使用済燃料を安全に保管する方針で、閉鎖済みの発電所も含めて国内すべての原子力発電所敷地内に乾式貯蔵設備が整っている。

使用済燃料を封入したDSCの総重量は70トン©OPG社

 ピッカリング発電所では6基のカナダ型加圧重水炉(CANDU炉)が稼働中で、内訳は1970年代に運転開始したA-1号機とA-4号機(各54.2万kW)、および1980年代に運転開始したB-5~B-8号機(各54万kW)。敷地内のPWMFではこれらからの使用済燃料に加えて、A発電所の改修工事で発生する中レベル放射性廃棄物の貯蔵が可能である。
 1996年に操業開始したPWMFのフェーズIは、最初の「DSC処理棟」と2つの「DSC貯蔵棟」(1号棟と2号棟)などで構成されており、約650本のDSCを保管中。その東側に位置するフェーズIIエリアでは約1,000本を受け入れる予定で、すでに2009年から500本を貯蔵可能な3号棟が操業を開始した。DSCは厚さ約51cmの高密度鉄筋コンクリート製で、内側と外側には厚さ1cm以上の鋼板が張られている。この厚さにより、廃棄物から出る放射線を効果的に遮ることができるとしている。