米国で30年ぶりの新設計画、現行日程より7か月前倒しで完成へ

2018年3月1日

 米国で約30年ぶりの新設原子炉としてA.W.ボーグル3、4号機(各110万kWのPWR)を建設中のジョージア・パワー社(GPC)は2月28日、「ボーグル建設監督(VCM)報告書」の最新版をジョージア州公益事業委員会(GPSC)に提出した。
 同プロジェクトでは昨年3月、エンジニアリング・資材調達・建設(EPC)契約を請け負っていたウェスチングハウス(WH)社が連邦倒産法の適用を申請。一時は継続が危ぶまれる事態となったが、VCM報告書の中でGPCは、過去半年間に同プロジェクトでは明るい動きが複数見られ、顧客に対して様々な利益や経費節減をもたらせる状況になったとした。また、現場で敷いた新しい管理体制により生産性が改善されたと報告。建設工事が円滑に進展しているため、両炉の完成も現行日程からそれぞれ7か月前倒しとなる可能性を提示している。

 VCM報告書はプロジェクトの主要オーナーである同社が半年毎に提出しており、今回の第18版は、昨年12月にGPSCが同プロジェクトの継続提案を全会一致で承認して以降、最初のものとなる。それによると、同社はプロジェクトの開始当初から、電気料金への影響を最小限に留めることを含め、顧客に提供可能と思われる利益をあらゆる側面で追求してきた。当初予測では同社は、この増設計画が顧客の電気料金に及ぼす影響を最大約12%としていたが、最新のVCM報告書ではこれが9.8%と大幅に削減されたと明言。主な理由として以下の点を説明した。

 ・東芝が昨年12月、WH社の親会社保証金36億8,000万ドルをGPCなどオーナー企業4社に完済。これにより3、4号機の総工費が削減され、GPCは顧客の利益のためにこれを活用することが可能になった。
 ・東芝の支払に加えて、新設原子力発電所に対する発電税控除(PTC)の適用期限延長項目を含めた予算法案が今月9日に成立。これにより、顧客が支払う金額は当初予測より1億3,900万ドル削減されることになった。
 ・東芝が支払を完了したことによる直接的な結果として、GPSCがプロジェクト継続指示のなかで1億8,800万ドル分の信用手形を承認。これを受けてGPCは、今年9月末までに顧客1人当たり75ドルを払い戻すことになった。
 ・米エネルギー省(DOE)が同プロジェクトに適用した融資保証枠83億3,000万ドルのうち、出資率が45.7%であるGPCの割当分は34億6,000万ドル。DOEが昨年9月、追加で最大37億ドルの適用を提案したことから、GPCの割当分は合計で51億ドルを超えることになる。追加分が最終承認されるには、さらなる交渉と規制上の他の承認も必要だが、GPCは5億ドルを顧客による利子負担の軽減に充てる方針である。

 GPCはまた、現場の作業に関する報告の中で、2017年後半はサザン・ニュークリア社が全体的なプロジェクト管理をWH社から引き継ぐ一方、日々の作業管理はベクテル社が担当していると説明した。3、4号機の現行の完成日程はそれぞれ、2021年11月と2022年11月に変わりないものの、建設サイトの生産性向上により、それぞれ2021年4月と2022年4月に早まる可能性があるとしている。
 具体的な実施作業としては、3号機で蒸気発生器や加圧器といった大型機器、4号機ではCA02やCA03などの大型モジュールの据付が完了。後続の作業用に、4号機の静的余熱除去熱交換器や炉内構造物もサイトに搬入した。GPCはさらに、建設中止が決定したV.C.サマー2、3号機のために訓練されていた運転員14名を、新たに雇い入れた事実に言及。すでに免許取得済みの運転員であるため、訓練に要する約2年の時間とコストが軽減されたと強調している。